92話 6人の夜 前編
ドラにゃんを仲間にした日の夜――。
俺、ユーリ、ドラにゃん、アイシア、エリス、桜の6人は、同じ部屋で就寝することにした。
大きなベッドのあるスイートルームである。
竜の鱗を競売に出す予定だし、これぐらいの出費は問題ない。
「今宵は寝かせぬぞ、カエデよ」
「ふっ。いつまでも負けてばかりの俺だと思うなよ」
「おお、怖いのう……。いつも通り我が勝つから覚悟するがいい」
「望むところだ!」
俺とユーリは睨み合う。
猫耳装備を着た俺は最強だ。
しかし、夜のプレイではそれを脱ぐことになる。
チート装備の補正がない俺は、強いどころかむしろ最弱となってしまう。
女の体に慣れていないこともあり、ユーリには連戦連敗だ。
たまには勝たないとな。
俺は決意と共に夜戦に臨む。
だが、現実は無情だった。
「……ふぇええ……」
俺は醜態を晒していた。
屈辱のダブルピースまでさせられている。
ダメだ。
やはり夜の試合ではユーリに勝てない……。
「へえぇ! 女性同士はこういう風にするのですね。私、勉強になりました!」
アイシアが目を輝かせながら言う。
ユーリと俺が戦っている間、彼女はずっと見学をしていたのだ。
「私も混ざりたいです!」
「少し待っておれ。カエデをもう一戦するからの」
ユーリはアイシアと会話しつつも、手を止めない。
くそぉ……。
こんな片手間みたいに……。
「待っている間は暇ですね……。ドラにゃんちゃん、私としませんか?」
「にゃにゃっ!? わ、わたしはドラゴンですにゃ! 人間となんて……」
「いいじゃないですか。今は人間形態なのですから」
「にゃにゃ~!」
アイシアはドラにゃんを後ろ向きにして、背後に回ると尻尾を掴んだ。
そのまま上下にしごき始める。
「にゃああん! 尻尾は弱点なのにゃあっ!! アイシアッ、だめにゃあああ!!!」
「いいです、いいです。ドラにゃんの可愛い姿も見れて大満足です」
アイシアはとても楽しそうである。
一方のドラにゃんは、俺に負けず劣らずクソ雑魚だな……。
昼間の竜形態では強かったのだが、夜の人間形態はダメダメ。
親近感を湧かせるキャラだぜ。
「ほれ、カエデよ。よそ見をしている場合ではないぞ」
ユーリによって、俺はトドメを刺される。
――こうして、俺は散々に鳴かされてしまった。
「ふう……疲れた。今日のところはこれくらいにしておくかの」
ユーリは汗をかいていたが、とてもスッキリとした表情をしている。
一方、俺はぐったりとしていた。
隣を見ると、同じようにドラにゃんがぐったりしており、アイシアは満足げな表情を浮かべている。
そして、俺は残りの2人――エリスと桜に視線を向けるのだった。