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91話 なんですそれ詳しく

「昨晩? カエデさんとユーリさんは、一緒に寝たんですか?」


「ん? ああ。少し……その、あれやこれがあってな」


「なんですそれ詳しく」


 アイシアが食いついてきた。

 エリスと桜も興味深そうな表情をしている。

 俺とユーリの百合プレイを伝えるべきなのか?

 この世界で同性愛はどの程度受け入れられているのか……。

 かつて共に楽しんだ村人ルウや、あるいは港町セイレーンの女性たちは、極端な忌避感を抱いてはいなかったが。


「そ、それはだなぁ……。ええと……」


 俺は言葉に詰まる。

 すると、代わりにユーリが口を開いた。


「カエデはエロい奴での。毎晩のように我に責めさせよるのじゃ。昨晩も『もっとしてぇ!』と鳴いておった」


「い、言ってねえ!」


 慌てて否定する俺だが――


「「「……」」」


 アイシア、エリス、桜からジト目で見られる。


「「「……」」」


「わ、わかった! 正直に話す! 実は俺たちはそういう関係なんだ!」


 俺が白状すると、3人は興味深そうに耳を傾ける。

 特に、アイシアは瞳を輝かせていた。


「へー……。女性同士でそんなことを……」


「お、おかしいかな?」


 俺は恐る恐るそう尋ねる。


「少し珍しいですが、おかしいとまでは思いません。そういう本を読んだこともあります」


 良かった。

 アイシアは理解があるようだ。


「わたくしも特段の偏見はございませんわ。わたくし自身にはそのような趣味はございませんけど」


「ううむ……。拙者にとっては未知の領域でござる」


 エリスと桜が言う。

 どちらも百合趣味はないらしい。


「ふふふ。なら、今晩にでも一緒にどうじゃ? 新たな道が開けるかもしれんぞ?」


「ユーリ。それは――」


 俺はユーリを止めようとして、考え直す。

 これはチャンスじゃないか?

 元男の俺としては、美少女とスキンシップを取ることは嬉しいことだ。


「うん、そうだな。一緒にやってみようぜ」


「ほう。さすがカエデだ。わかっておる」


 ユーリがニヤリと笑う。


「……というわけじゃ。今晩は、この5人で楽しもうぞ」


「ええっ!? わ、私もですか!?」


 アイシアが声を上げる。


「もちろんだとも。むしろ、お主が最も興味深そうにしておったではないか」


 ユーリの言葉に、アイシアは顔を赤くしている。


「あ、あはは。まぁ、いいんじゃねぇか? 気軽に楽しもうぜ」


 俺はそうまとめる。


「わ、わたくしは見学だけ致しますわ……」


「拙者は不参加で……。女同士に限らず、そういったことは拙者には早いゆえ……」


 エリスと桜がそんなことを言い出す。

 残念だが、無理強いはできないか。

 今日は俺、ユーリ、アイシアの3人で――いや、待てよ?

 もう1人、候補者がいるじゃないか。


「なぁ、ドラにゃん」


「どうしましたにゃ?」


「ドラにゃんのここって……人間と同じつくりをしているよな?」


「ちょ、何やってんですかにゃ!? カエデ様のヘンタイっ!!」


「ぐわっ!」


 俺は殴られた。

 ドラにゃんは、『暴食竜』フレイムドラゴンの人間形態だ。

 どうやらその戦闘能力は健在のようで、なかなかのパンチ力である。

 俺は胸ぐらを掴まれ、揺すられる。


「にゃ、にゃにをする気ですにゃっ!! 変態っ! スケベッ! 淫乱っ!」


「い、いや、そういうつもりじゃないんだ。ただ確認したくて……」


「そこは大切なところですにゃ! 人間形態で傷付いたら、ドラゴンに戻った時にも影響が残るですにゃ!」


「あ、そうなのか。悪い。悪かったよ。許してくれ」


 俺は素直に謝ることにした。


「まったく……。次やったら容赦しませんにゃ」


「ああ……。肝に命じておく」


 ドラゴンとはいえ、やはり女の子。

 こういうことには敏感らしい。

 だがそれはそれで、良いニュースでもある。

 ふふふ。

 今晩が楽しみだぜ。

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