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86話 無頓着
「功績も魅力的ですが、報奨金も楽しみですわね」
「然り。路銀の足しになるでござる」
「良く知らんのじゃが、ドラゴンを倒したともなれば路銀どころじゃないのではないかの?」
エリス、桜、ユーリがウキウキしながら話す。
しかし――
「ええっと……。とても残念なお知らせなんですが、期待しているほどの報奨金は出ないかもしれません」
アイシアが申し訳なさそうに口を開く。
「ん? どういうことだ? ドラゴンを倒したんだぞ。相当に貰えるはずだ」
「そうですね……。ギルドの報奨金のシステムはご存知ですか?」
「知っているような知らないような……。ゴブリンの魔石とかを渡せば、なんか知らないけど精算して金をくれるんだよな」
俺はそう答える。
このあたりはノリでやっている。
ギルドの受付嬢は人の良さそうな美人さんばかりだし、騙してきたりはしないだろう。
「さ、さすがはカエデさんですね。そこまで無頓着だと、逆に清々しいです」
「カエデじゃから仕方ないの。こやつは難しいことは分からんのじゃ」
アイシアが呆れたように言うと、ユーリも肯定するように声を上げた。




