75話 Bランク冒険者
俺、ユーリ、アイシア、桜、エリス。
5人の連携により、フレイムドラゴンを撃破した。
「無事に討伐できて良かったな」
「はいっ! それにしても、これは快挙ですよ!」
「そうなのか? Bランク冒険者のアイシアなら、似たような経験はあるんじゃ?」
「いえいえ! ドラゴンの討伐なんて軍隊が出るレベルですから! 私が参加したことがあるのは、せいぜい下級のワイバーンくらいです!」
アイシアがそう言う。
「ふぅん。Bランク冒険者って言っても、そんなものなんだな……」
「あっ、何ですかその顔は! 私はこれでも結構すごいんですからね!?」
「はいはい。わかってるって」
「私が得意なのは肉弾戦なので、どうしても人型サイズの魔物との戦いがメインになるだけですっ! 盗賊退治の功績もたくさんあるんですよっ!」
「ああ、なるほどね」
冒険者のランクは、S、A、B、C、D、Eの6段階に分かれている。
もちろん強ければ強いほどランクは上がるのだが、基準はそれだけではない。
依頼の達成数や達成率や、依頼人からの満足度の高さ。
採取系の依頼における質や納品速度も関係している。
それにそもそも、戦闘能力の方向性もそれぞれ違う。
魔法攻撃が得意なものであれば、ドラゴンのように巨大な相手でも活躍できる。
しかし一方で、1人ではゴブリンの群れと戦うだけでもワンチャン敗北もあり得る。
不意打ちを1つ受けるだけで、呪文詠唱が中断されて袋叩きにされるリスクがあるからだ。
アイシアのように、肉弾戦が得意な者であればどうか。
ドラゴンのように巨大な相手では、かなり戦いにくい。
今回は俺、ユーリ、エリスの遠距離魔法でうまく隙をつくれたが、普通なら接近することすら難しいだろう。
ドラゴン戦において、近接職はあまり有用ではないのだ。
しかし一方で、ゴブリンの群れ相手なら無双できる。
多少の不意打ちを受けたところで、アイシアほどの闘気があればほぼノーダメージ。
囲まれても、力押しで突破できるだろう。
「まぁいいさ。それよりも、フレイムドラゴンの死体はどうする?」
「ギルドに持ち帰れば、高く売れそうでござる」
「それに、ランク査定にも期待できそうですわ」
桜とエリスがそう言う。
彼女たちは冒険者をしているだけあって、金や名声にもそれなりの拘りがあるようだな。
「ふぅむ。しかし、こんな巨体を持ち帰るのは大変そうだが……」
「カエデのアイテムボックスに収納すればよかろう」
「あ、そうか」
ユーリの指摘を受けて、俺はフレイムドラゴンに近づく。
そして、アイテムボックスに収納しようとするが――
「あれ? 入らない」
なんでだろう?
討伐した魔物が入らなかったことなんて、今までなかったんだけどな。
俺は首を傾げるのだった。




