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73話 ネコストーム

 桜の剣技『焔裂き』におり、フレイムドラゴンにダメージを与えた。

 ここから反撃だと思ったが――


「ゴアアアァッ!!」


 フレイムドラゴンが羽を広げる。

 そして、空へと急浮上した。


「逃げるのか? 案外、臆病なものだな」


「いえ、あれは一時退避しただけでしょう。空へ逃げられたのは迂闊でした」


「そうか?」


「はい。空からブレスを打ってこられたら、私たちにはどうしようもありませんよ……」


 アイシアがそう指摘する。

 確かに、上空を飛ぶ奴からの攻撃は厄介だ。

 エリスや桜の水魔法なら、何とか防ぐことは可能かもしれない。

 だが、こちらからの反撃手段がない。

 そうなれば、ジリ貧だ。


「ふうむ。俺の『ネコレイン』の余韻はまだ残っているのだが……。多少の雨ぐらいでは、空から落ちるほどではないか……」


「カエデさん、何とかなりませんか?」


 アイシアが尋ねてくる。

 彼女は『戦鬼』の二つ名を持つBランク冒険者で、その身体能力はかなりのものだ。

 ただ、遠距離攻撃の手段はあまり持っていないようだな。

 空を飛ぶドラゴンへの対処はできないらしい。


「よし。もう一度『ネコレイン』を……いや待てよ? ここは気合いを入れて――」


 俺は魔力を練り上げていく。

 最強の猫耳装備を着た状態なら、ノータイムでもかなり高威力の魔法を放つことができる。

 しかしもちろん、時間を掛けた方がより効果が高い魔法になる。


「くらえっ! 【ネコストーム】!!」


 風と水が混ざり合った激しい嵐が吹き荒れる。

 さっきのようにただの雨じゃなくて、風と合わさることにより冷却効果は倍増だ。

 そもそも、単純な水の量だけでも『ネコレイン』よりも多いし。

 フレイムドラゴンには効果大だろう。


「ギィヤアァァ……ッッ!!」


 フレイムドラゴンは悲鳴を上げていた。

 全身から熱を奪われ、苦しんでいるようだ。

 しかも、吹き荒れる暴風により飛行の制御も失いかけている。

 かろうじてその場に浮かんではいるが、この場から逃げることはできていない。


「よし、追撃するか」


「いえ、カエデさんはその魔法の発動を継続してください」


「エリス?」


「カエデさんが整えてくださったこの環境があれば、わたくしも普段以上の魔法が使えますので」


 エリスは自信満々に言う。

 彼女は複数の魔法を扱うことができる魔法使いだ。

 しかしその中でも、雷系の魔法を得意としている様子だった。


「雷の精霊よ……我が呼びかけに応え、汝の力を示せ! 空に迸る稲光となり、天の怒りを解き放ち給え! 【テラ・サンダー】!!!」


 俺が呼び出した嵐雲。

 それが雷雲となり、四方八方に雷を撒き散らす。

 まるでバリスタから発射された無数の矢のようだ。


「ガァァッッ!!」


 そして、フレイムドラゴンが体中を焼かれながら落下してきたのだった。

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