表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

72/94

72話 焔裂き

 俺の水魔法『ネコレイン』により、フレイムドラゴンの体が水に濡れていく。


「……ギャウッ!?」


 驚いた様子で、一瞬動きを止める暴食竜。

 だが、すぐに怒りの表情を浮かべ、激しく暴れ出す。

 そして――


「ガルルルッッ!!!」


「うおぉ……! こ、こいつ……!?」


 フレイムドラゴンは、自分の体に纏わりついた水分を一気に蒸発させた。

 そのせいで周囲がサウナのように蒸し暑くなる。


「こりゃあ、かなり強力な熱源だぜ……」


 ドラゴンが相手だと、さすがに分が悪そうだ。

 ここは、逃げるしかないのか?

 しかし、ドラゴンは俺たちを逃すつもりはないようだった。

 暴食竜の鋭い爪が、こちらに迫り来る。


「ゴアァァアッ!!」


「くっ!」


「ぬかったでござる!」


 奴の狙いはエリスと桜だ。

 2人は魔法を発動していたことにより隙だらけになっていた。

 そこへフレイムドラゴンの強烈な一撃が振り下ろされる。

 このままではマズいが――


「【プラント・ウォール】じゃ!」


 ユーリが木魔法でフレイムドラゴンの動きを阻害する。

 さすがに巨体を完全に止めることはできなかったが――


「闘神流奥義【鉄心】!!」


 アイシアが闘気を開放する。

 彼女の体が鉄のように重く、固くなったようだ。

 フレイムドラゴンの爪を受け止めた。


「グゥウ……!!」


「はああぁ……!!」


 アイシアが、全身に力を込める。

 すると、徐々にだがフレイムドラゴンの体が後ろに下がっていった。


「凄え……。あいつ、あの巨体のドラゴンを押し返してるぞ」


「さすがは『剛腕』のパワードさんの娘さんですわね。かなりの力持ちのようです」


「まるでゴリラだな……」


 俺は思わずそう呟いた。


「だ、誰がゴリラですかああぁっ!!」


 アイシアがそう叫びながら、フレイムドラゴンを投げ飛ばす。

 だが、奴は空中ですぐさまバランスを取り戻した。


「ゴアアアァッ!!!」


 奴が再びブレスを放ってくる。

 アイシアが投げ飛ばしたのは判断ミスか?

 遠距離なら、高火力ブレスを吐けるフレイムドラゴンの方が有利だよな。

 だが、近距離は近距離で厄介だ。

 巨体から繰り出される攻撃を受ければ、タダでは済まない。


「拙者に任されよ! ぬううぅっ!! 一刀流抜刀術……【焔裂き】っ!!!」


 桜が居合の構えを取り、剣を振り抜く。

 剣閃に沿って、目に見えない衝撃が放たれたように見えた。

 それはフレイムドラゴンのブレスを切り裂き――


「ギュオォォォ……!!」


 フレイムドラゴンの胸に一文字の傷を付けた。


「おお! やるなぁ!」


「ふふん、こう見えても里では好成績を修めた天才でござるからな」


「マジで!? すげぇっ!」


「む、照れるでござるなぁ~」


 桜は顔を赤らめて頭を掻くのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ