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68話 ズコーッ!!
「結構奥まで来たなあ……」
「うむ、そうじゃの。自然が豊かで心地いいわい」
俺の言葉を受け、ユーリがそう言う。
彼女は世界樹の精霊だ。
自然豊かな場所を好む。
俺に付き合って基本的には人族の街に滞在しているが、ときおり森などに散策に行くことがあるらしい。
「ところでさ。1つ聞きたいんだが……」
「何ですか? カエデさん」
「森に来た目的って何だっけ?」
ズコーッ!!
アイシア、桜、エリスが盛大に転けた。
「あっ、こけるほどの質問だったか。すまん」
「いえ……、別に謝らなくてもよろしいのですが……。カエデさんが日々を適当に生きていることは、よーく分かりました」
「いやあ、それほどでも……」
「褒めてないですっ!」
アイシアがツッコんできた。
彼女は結構子どもっぽいところがあるが、性格は至って真面目だ。
さすが、女性でBランク冒険者になっただけはある。