65話 コボルトを撃破
ルクセリア近郊の森へ魔物狩りに来た俺たち。
そこで遭遇したのは、武装したコボルトたちであった。
「よし。ここは俺がやる」
「えっ? カエデさんがお一人で戦うんですか!?」
「さすがに危険ではありませんか?」
「うむ。拙者たちも共に戦うべきでござろう」
「いや、大丈夫さ。任せておいてくれ」
俺は自信満々に言い放つ。
アイシアたちが驚いているが、俺にとっては雑魚同然である。
「あのカエデさんですものね。試験で大活躍していた実力が本物かどうか、見せていただきましょう」
「拙者も参考にさせてもらうでござる」
「仕方ありませんね。ですが、危なくなったらすぐに助けに入りますので!」
「ああ。頼んだ」
アイシアたちは納得してくれたようだ。
俺は軽く準備運動を行い、戦闘態勢に入る。
「では、始めるとするか」
俺は一気に駆け出した。
一瞬にして間合いを詰める。
「うわぁ! 速い!!」
アイシアが驚きの声をあげる。
「おお! まるで疾風のようなスピードじゃのう!!」
「すごいですわ!!」
ユーリとエリスが声を上げる。
「なんという速さ!! これが楓殿の本気の力でござるか?」
桜が戦慄している。
実はまだ本気ではない。
もっと速い動きもできるが、コボルト程度にそこまでする必要もない。
「はあっ!!」
俺は、まず1体の首を斬り飛ばす。
「グギャアァッ!!」
悲鳴を上げて倒れるコボルト。
俺はさらにもう1体を袈裟懸けで斬った。
「ガアッ……」
ドサッと音を立てて倒れ伏すコボルト。
これで残りは2体だ。
「「「グルルルゥ……」」」
仲間を殺されたことで怒ったのか、2体が同時に襲いかかってきた。
2体とも、俺の頭を狙って槍を突き刺してくる。
「甘いな」
俺は瞬時にしゃがみ込み、槍を避けた。
そして、そのままの勢いを利用して、2体の頭部を同時に殴りつける。
ボキッと鈍い音が鳴り響く。
コボルトの頭が吹き飛んだのだ。
「ふう……。こんなもんか」
俺は息を吐いた。
アイシアたちの方を見ると、唖然とした顔で固まっている。
「あ、ありえないでしょ……これ。なんなのですか、この強さは……」
アイシアが呟くように言った。
「本当にわたくしと同じCランク冒険者なのですか?」
「これほどの者がつい先日までDランクだったとは……。世界は広いでござるな」
エリスと桜が口々に言う。
俺の強さを目の当たりにして、かなり驚いたみたいだ。
昇格試験でも戦闘や魔法は見せたが、あれはかなり手加減していたしな。
「まあまあ、落ち着いてくれよ。とりあえず、魔石を回収しようぜ」
「そ、そうですね。私がやりますね」
アイシアが我に返って言う。
そして、倒れたコボルトの死体から、魔石を回収したのだった。