64話 森に到着
「ここが目的地の森だな」
「はい。ルクセリア近郊の狩り場の中では、一番危険な森です」
先導するアイシアの言葉に、俺は首を傾げる。
「へえ? そんなに危険なのか?」
「ええ。この辺りにはオークやゴブリンなどの亜人系モンスターが多く生息しています。また、大型の魔物も生息しているため、油断は禁物です」
アイシアが真剣な表情で答える。
「なるほど。それは確かに危険そうだな」
「ええ。なので、引き続き私が先頭を歩きますね」
アイシアがそう言う。
彼女は、この森を何度も訪れているらしい。
だから、ある程度の道案内ができるとのことだ。
「わかった。では、アイシアに任せよう」
「お任せください!」
アイシアを先頭に、俺たちは森の中に入っていく。
しばらく進むと、前方に何か動くものが見えた。
「あれは……コボルトですね。数は3体……いえ、4体いますね」
4体の犬頭の生物がいた。
全身が茶色く、腰に布を巻き付けている。
手に槍を持っており、その穂先からは血が滴り落ちていた。
「ふむ。武器を持ったコボルトとは珍しいでござるな」
「そうですね。コボルトは通常なら素手ですもの」
桜とエリスがそう言う。
俺はアイシアに確認を取ることにした。
「アイシア。あいつらは倒してもいいんだろ?」
「はい。問題ありません。今回のターゲットではありませんが、討伐後に魔石を回収すれば収入になりますし……」
「了解だ」
俺は魔力を高めていく。
コボルト程度なら、俺にとってさほどの障害ではない。
ちょちょいと倒してしまうことにするか。




