63話 待ち合わせと出発
Cランクへの昇格試験の合否発表がされた翌日……。
俺は、さっそく冒険者ギルドに来ていた。
相棒のユーリもいっしょだ。
彼女は昇格試験を受けなかったのでDランクのままだが、世界樹の精霊である彼女の魔法の技量は非常に高い。
そこらの依頼をこなす際に、邪魔になることはないだろう。
そして……。
「おはようございますわ。カエデさん、ユーリさん」
「時間通りでござるな。感心、感心」
エリスと桜だ。
彼女たちとも、ギルドに集合して待ち合わせをしていた。
俺たちはお互いに朝の挨拶を交わす。
「よし! 全員揃ったところで、早速出発しようか!!」
俺はそう合図を出す。
昨日のうちに、依頼は受けておいた。
街の近郊にある森で、とある魔物を討伐する依頼だ。
「ちょ、ちょっと待った~!!」
慌てた様子の女性が駆け寄ってきた。
彼女が息を整えつつ、言葉を続ける。
「はあはあ……。ひ、ひどいじゃないですか! 私を仲間外れにするなんて!」
そう言うのは、戦鬼アイシア。
昨日俺と模擬試合を行った、Bランク冒険者である。
「おっと。すまんすまん。すっかり忘れていたぜ」
俺は頭を掻きながら謝る。
「うぅ~。酷いですよぉ~」
半泣きになるアイシア。
彼女は俺の強さの秘訣を探るという目的で、今後も行動をともにすると宣言していたのだ。
アイシアは20代の成人女性だが、まだ子供っぽいところが残っているようだな。
結構可愛い。
「まあまあ、アイシアとやら。そう怒るでない。カエデにはカエデの事情があるのじゃ」
「むー」
ユーリに宥められて、アイシアが頬を膨らませる。
そんな彼女を見て、桜が口を開く。
「改めて、今日はよろしく頼むでござるよ。『戦鬼』の二つ名を持つアイシア殿の力を、拙者たちに見せてほしいでござる」
「胸をお借りしますわよ。アイシアさん」
「上級冒険者の実力とやらを見せてもらおうかの」
桜に続き、エリスとユーリがそう言う。
俺、桜、エリスは昨日の昇格試験に合格し、Cランク冒険者になった。
ユーリはDランク冒険者だ。
Bランク冒険者のアイシアは、この場で最も高ランクである。
「ふふふ……。いいでしょう。任せておいてください!」
アイシアが胸を張って答えた。
どうやら、やる気になったみたいだな。
「それでは、行くか!」
俺の掛け声とともに、全員が歩き出す。
そして、ルクセリアの街を出て、目的地の森へと進んでいったのだった。