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50話 筆記テスト

 Cランク昇格試験の筆記テストが始まろうとしている。


「これから皆さんに、試験問題を解いていただきます。制限時間は80分。時間が来たら、回答をやめてくださいね」


 そう言いながら彼女は試験用紙を配布していく。


「準備はよろしいでしょうか」


 全員に試験用紙が行き届いたのを見て、彼女がそう問うてくる。


「問題ないようですね……。では、始め!」


 彼女がそう宣言すると、一斉にペンを走らせる音が響いてきた。

 俺も紙に解答を書き込んでいく。


 ゴブリンの魔物ランクは……。

 ビッグ・ジョーの魔物ランクは……。

 このあたりは知っている。


 だが、結構知らない問題も多いな。

 何しろ、俺がこの世界に来てからそれほどの月日は経っていない。

 当然、冒険者として活動を始めてからの日も浅い。

 猫耳装備の最強さに任せて暴れてきただけだ。


 ええと……。

 ゴブリンキングの魔物ランク?

 魔法の基本5属性?

 知らねえ~。

 とりあえず全部適当に埋めていこう。


「そこまでです」


 彼女が終了を宣言した。


「あー……。難しかったよー!」


「そう? 簡単だったと思うけど……」


「今回こそ、俺は昇格するぜ!」


 あちこちからそんな声が上がる。


「わたくしはバッチリでしたわ。桜はどうでして?」


「拙者はそこそこでござるな。魔物に関しては答えられたが、魔法やこの国の常識については自信がないでござる」


 エリスと蓮華が話し始める。


「まあ桜の場合は、筆記試験である程度取れれば、実技で挽回できるでしょう」


「うむ。そうしたいものでござる。……ところで、楓殿はどうだったでござるか?


「俺は……、まあまあってところか」


 俺はそう言って、少し考える仕草をする。


「まあまあでござるか……。楓殿も、実技で挽回を狙う感じでござろうか?」


「ああ。そのつもりだ」


 俺はそう答える。


「なるほど。では、その可愛らしい服を脱いで戦闘服に着替えるわけでござるな? 楓殿の他の服装が気になるでござる」


 桜が俺の方を見ながら言ってくる。


「え? いや、俺はこれが戦闘服だぜ」


 最強の猫耳装備だ。

 これ以上の装備はなかなかないだろう。


「…………え?」


 桜が戸惑ったような表情を浮かべる。


「カエデさん。何を言っているんですか?」


 エリスが俺にそう問う。


「だから、この猫耳装備が俺の戦闘服なんだって。これでもいい装備なんだぜ?」


 俺は桜とエリスに語り掛ける。


「……確かに。その服を着ているときのカエデ殿には、不思議な安心感があるでござる」


 桜が納得したようにそう言う。


「そうですか? わたくしには分かりませんが……。まあ、実技試験が始まれば分かることです」


 エリスはそう言うと、話を打ち切った。

 彼女が前を向く。

 ちょうど、女性職員が答案用紙を集め終えたようだ。


「次は、実技試験を行います。各自、30分後までに演習場に来てください。では、ひとまず解散とします」


 彼女がそう言う。

 そうして、俺たちは一旦部屋を出ていったのだった。

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