48話 ルクセリアでのCランク昇格試験
そして、2週間後……。
俺とユーリは、ルクセリアの町を訪れていた。
大きな町だ。
基本的な雰囲気はサンライトと似たような感じだが、魔物が生息している森や山岳部が周囲にあり、冒険者に人気の町となっているようだ。
その分、冒険者ギルドも大きい。
俺は、試験の日までユーリとともに適当に観光をしておく。
そして、今日が俺のCランク昇格試験の日だ。
俺は1人で試験会場に向かう。
ちなみにユーリはお留守番だ。
彼女は俺との付き合いで冒険者活動をしているだけで、あまりランクアップには興味ない感じだし。
「おっす。来たぞ」
「ようこそおいでくださいました。こちらの部屋でお待ちください」
「おう」
俺が試験会場に入ると、すでに50人以上の冒険者が待っていた。
「うお……、なんだこりゃ」
思わず声を上げる。
「結構多いな。こんなに集まっているとは思わなかった」
俺はそう呟く。
そんな俺の言葉が聞こえたのか、入口付近に座っていた冒険者の視線がこちらに向く。
少女2人組のパーティのようだ。
「あら。可愛い格好をしたお嬢さんだこと」
少女の1人目……いかにも魔法使いという風貌の少女が言う。
「Cランク昇格試験を舐めているでござるな。そんな格好では、まともに剣を振れぬであろう」
2人目の侍風の少女がそう言う。
彼女の服装は和服ちっくだ。
なかなか似合っている。
「おう。お前さんたちも昇格試験を受けるのか? 俺は初めてなんだが、勝手をよく知らなくてよ。人数が多くてびっくりしたぜ」
俺はそう話しかける。
「Cランク昇格試験は、このルクセリアのように大きめの町でしか開催されませんからね。日程もある程度限られていますし……」
「拙者たちのように、高みを目指す者にとっては常識でござる」
すげえ。
ござる口調だ。
実際にこの耳で聞くことができるとは。
和服も似合っているし、相当な美少女だ。
凛々しさが眩しい。
俺の視線を感じたのだろう。
彼女が訝しげな顔つきになる。
「拙者の顔に何か付いてるでござるか?」
「いや、そういうわけじゃないんだが……。めずらしい格好だと思ってな」
この世界において、和服がどの程度めずらしい格好なのかは知らない。
しかし少なくとも、俺が見たのは初めてだ。
「拙者の故郷の服装を侮辱するでござるか? しからば、死合でござる……」
和服の少女が剣呑な雰囲気でそう言い、立ち上がろうとする。
「おい、落ち着けって」
俺は慌てて止めた。
初対面でいきなり斬りかかられるとか勘弁してほしい。
なんとかなだめないと……。




