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35話 覗き見をする二人

 一方その頃……。

 カエデたちがお楽しみ中の家の外にて、聞き耳をたてている人物が二人いた。


「「ううっ! 姉御ォ……」」


 Cランク冒険者の、グリズリーとガンツである。

 この家には近づかないよう、町長から町民たちに指示が出されている。

 そして、警備兵が配置されて侵入者を阻んでいる。


 しかしグリズリーとガンツは実力確かなCランク冒険者。

 警備兵の目を盗んでカエデたちの寝室前まで侵入することに成功していた。

 そして彼らは今、扉の前で聞き耳を立てているのである。


「カエデの姉貴の声が聞こえるぞ……」


「きっと中でお楽しみの最中に違いねえ!」


 グリズリーとガンツが小声でそうつぶやく。

 彼らからカエデへの憧憬の念に、偽りはない。


「俺たちも混ぜてもらおうぜ!」


「……無理だろう。昼間の姉御の態度からすると、俺たちに少しの興味もないみたいだし……」


 ガンツがそう諦めの声を出す。


「くぅうう!! 悔しいぜ……」


 グリズリーが心底残念そうにそう言う。

 二人は、そのまま部屋の外で聞き耳を立て続ける。

 そして、しばらくして……。


「あ……あああああー!!!」


 カエデの声が聞こえてきた。


「もう我慢できねえ! 俺は行くぞっ! 兄弟っ!」


「バカ! やめろ! 今度こそ殺されるぞ!」


 はやるグリズリーを、ガンツが制止する。

 彼らはカエデとの初対面の時に、いろいろとイチャモンをつけて害しようとした。

 強烈なパンチを受けるなどそれなりの制裁は受けたが、それを除けば実質的に無罪放免となっている。

 それも、カエデが深く追求してこなかったためだ。


 ここで乱入などしようものなら、今度こそ彼女の怒りを買って再起不能にされてもおかしくない。

 また、カエデと楽しんでいる少女たちは、グリズリーやガンツと同じこの町の住民だ。

 親しい者はいないが、顔ぐらいは知っている者ばかりである。

 乱入すれば、町に非常に悪い噂が流れるだろう。

 もともと荒くれ者の冒険者として悪い噂は流れているが、性犯罪者となるとまた一段と白い目を向けられることになる。

 ガンツとしても、それは避けたかった。


「でもよぉ……。兄弟……」


 グリズリーがなおも未練がましく言う。

 もちろん、乱入したい思いはガンツも同じであった。

 しかし、ギリギリの理性でそれを我慢しているのである。


「ぐぬぬ……。こうなりゃ、トビラから中の様子だけでも……」


「お、おいっ!? バレたらどうする!」


 ガンツがそう言って止める。

 だが、グリズリーは構わずトビラを少しだけ開いた。

 そこから中の様子を覗き込む。


「うわぁああ!! 入ってくるぅ!」


 ちょうど、カエデが少女たちに浣腸液を流し込まれている最中であった。


「す、すげえ……」


 グリズリーが感嘆の声を上げる。


「お、俺にも見せろ!」


 ガンツがそう言いながら、同じようにして部屋の中の様子を見る。


「「…………」」


 二人が無言になる。

 ただ、その目だけはギラついていた。


「な、何であんなことになってるんだ? 姉御がその気になりゃ、あんな少女たちなんて振り払えるだろうに……」


 ガンツがそう言う。


「知るかよ! 姉御の趣味じゃねえのか? ああいう趣向なんだろ」


 グリズリーがそう答える。

 二人はそのまま、しばらくカエデたちの絡みを眺める。


「そおぃっ!」


「っ!!」


 カエデは相変わらず、他の少女たちにいいようにやられている。

 すごく楽しそうだし、心の底から嫌がっているというわけでもないのだろうが……。

 そのとき、ガンツがふと違和感を覚えた。


「んん? この反応はなんだ?」


「どうした? 兄弟?」


 グリズリーがそう声を掛ける。


「あそこの部屋の隅から、妙な気配を感じないか?」


「あん? …………確かに、少し変わった気配を感じるな……」


 ガンツの問いに、グリズリーがそう答える。


「気配のもとは……姉御が脱いだあの猫の服か? 魔力の反応がある」


「そうみたいだ。妙な格好の趣味だと思っていたが、もしかするといい性能の装備なのかもしれねえな。さすがは姉御だ」


「もしかするとだけどよ。姉御が強く抵抗していないのは、あの装備を脱いで弱体化しているからじゃねえのか?」


「なるほど……。そうかも知れねぇな。よし、確かめてみようぜ!」


 グリズリーが勇み足でトビラを開けようとする。


「バカ野郎! もし早とちりだったらどうすんだ!」


「た、確かに……」


「それに、姉御がせっかくお楽しみのところを邪魔するのも悪いだろうが」


「で、でもよ。姉御が弱体化して抵抗できないのなら、それを俺たちで助けて差し上げれば……」


「それも一理はある。だが、わざわざ装備を脱いでいるあたり、半分以上は趣味で楽しんでいるだけだろうさ。ここは”見”に回ろう」


「くっ……わかったぜ兄弟! 俺は我慢する!」


 グリズリーはそう言って、歯を食い縛ってドアノブを握った手を離す。


「しかし……。姉御は相当な乱れ具合だ。こりゃ相当なスキものだな。俺が男の良さも教えて差し上げたいぜ……」


 ガンツはそんなことを考える。

 そうして、二人の男は部屋の外で悶々としながら聞き耳を立て続けたのだった。

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