28話 猫のお姉ちゃんだーっ!
宴が始まっている。
どうやらバイキング形式のようだ。
俺はユーリと猫まるのために、料理が用意されているところへ向かって歩き出す。
と、そのとき。
「おい、あれって……」
「本当だ。なんであんなところに……」
「あの、着ぐるみ……は、何なんだ」
「変な生き物だな……」
周囲の人たちがざわめき始めた。
……ん?
なんか注目されているような……?
「あーっ! 猫のお姉ちゃんだーっ!」
「かわいいー」
子どもたちがそう言う。
彼女たちが注目しているのは……俺だ。
やはり、この猫耳装備は目立つな……。
ここは街中だし脱いでもいいのだが、万が一ということがある。
この装備がない俺はただの無力な少女だからな。
グリズリーやガンツに捕まったら、かなり面倒なことになりそうだ。
奴らも俺を姉御と呼んで慕うぐらいだし悪意は持っていないのだろうが、それと同時に何やら変な性癖にも目覚めていた。
俺が猫耳装備を脱いだら弱いとバレたら、何をされるか、あるいは何をさせられるか分かったものではない。
目立つのを承知で、この猫耳装備は着続けていくしかないだろう。
俺は心の中でため息をつく。
「わあい! モフモフー!」
「いいなーっ! この服!」
「遊ぼー! お姉ちゃん!」
子どもたちが無邪気にまとわりついてくる。
彼女たちとは初対面なのだが、ずいぶんと懐いてくれているな。
やはり猫耳装備は子どもに対して好印象なのか。
「こらこら。今は料理を取っているんだ。また今度な」
俺はそう言って、子どもたちを引き離す。
無邪気な子どもたちと触れ合うのも癒やされるが、今はともかく飯だ。
さて、どれがいいかな……。
「おおっ! 新鮮そうだな」
俺はマグロっぽい魚を見つけた。
刺身の盛り合わせになっている。
俺は皿にたんまりと盛り付ける。
マグロは刺身の中でも王道だと言っていいだろう。
ユーリや猫まるも気に入ってくれるはず。
もし彼女たちの口に合わなくとも、俺が食べればいいだけの話だ。
俺は次に海草サラダを探す。
海草にはいろいろと栄養が含まれているらしいしな。
ついでに野菜も取ろう。
エビみたいな甲殻類もいるぞ。
「おっと、あった」
カニもある。
これも取っておこう。
「あとは……」
俺はさらに探す。
「お、これだ」
ウニっぽいっものを発見した。
ちょっと高級品で量が少ないようだが、あるだけありがたい。
「こんなもんでいいか」
大皿にてんこ盛りとなった。
俺は大満足して自分の席に戻る。
すると、そこには意外な光景が広がっていた。