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23話 あんたについていくぜ、姉御ォッ!!!

 町長からお礼を言われていたところ、口を挟んできた男がいた。


「だれだっけ?」


「俺様はCランクパーティー『鋼鉄の荒熊』のリーダー、グリズリー・タイガーだ!」


「うーん?」


「お前をカモだと勘違いして、絡んだチンピラだよ!!」


「ああ、お前か」


 やっと思い出した。


「それで、言いたいことっていうのは……」


 俺がグリズリーに先を促そうとした、そのとき。


「待て待てぃ! そういうことなら、俺も言いてえことがある!」


 また口を挟まれた。


「だれだよ」


 男の顔なんざ、いちいち覚えていられない。

 世界樹の精霊であるユーリや、村娘のルウの顔はすぐに覚えられたけど。


「俺はCランクパーティー『鉄拳制裁』のリーダー、ガンツ・レッケンバッハだ!」


「ああ。そんな奴もいたなあ……」


 俺が冒険者ギルドに入ったときに絡んできた奴だ。

 猫耳装備の前に、あっけなく倒れた奴である。


「俺様グリズリーは、お前にこれだけは言っておく!」


「この俺ガンツも、これだけは言わせてもらう!!」


「はやく言ってくれ」


 もう面倒くさくなってきたぞ。

 またイチャモンか何かだろうか。

 俺を誘拐して売り飛ばそうとでも画策しているのであれば、今度こそぶっ殺してやろうか。

 俺はそう思ったが……。


 ガバッ!

 グリズリーとガンツが、地面に膝を付いた。

 そして、頭を垂れる。


「「俺たちの完敗だ。これからは、あんたについていくぜ、姉御ォッ!!!」」


 …………。


「はぁっ!?」


 なんだこいつら。


「俺様は、姉御の強さに魅了されちまったんだ!! 是非、仲間に入れてくれぇっ!!!」


「俺もだ! 荷物持ちでも靴磨きでも、何でもさせてくだせえ!!」


 俺の目の前で、二人の男が土下座して懇願している。


「なんじゃと? どういう風の吹き回しじゃ?」


 ユーリが怪しげなものを見る目つきで言う。


「いや、なんか、俺もわけわからん……。急に態度が変わりすぎだろ……」


 俺は困惑するしかない。


「いや、急にというわけではない! あの時の姉御のパンチで、俺の頭には衝撃が走ったんだ!!」


 ガンツがそう言う。

 そりゃ、この猫耳装備の力で殴ったんだから相当な衝撃が走るだろうよ。


「昨晩、町で突然食料が配給されたんだ。十分な量のな。ギルドに問い合わせてみたら、猫耳の変な……いや、斬新な装備を纏った冒険者が持ってきたっていうじゃねえか。こりゃピンと来たぜ」


 グリズリーがそう言う。

 個人情報がダダ漏れじゃねえか。

 まあ、依頼達成は誇ることだし信用の向上にも繋がるので、隠すようなことではないのかもしれんが。


「この俺ガンツとグリズリーの野郎で、姉御へ改めて謝罪に行こうと思ったんだよ。情報を集めてみたら、あのビッグ・ジョーと戦っているっていうじゃねえか」


「おう。それで、慌ててここまでやってきて、何かできることはないかと待機していたんだ。ま、姉御には助けなんざ要らなかったみてえだがな」


 グリズリーがそう言う。

 彼とグリズリーは、多少の面識があったようだな。

 まあ、同じ町で活動している冒険者なら、当然面識もあるか。

 冒険者ランクも同じCランクだしな。

 それはそれとして、この事態をどう収めたものか。

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