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21話 決着

 俺と猫まるで、ビッグ・ジョーと戦っている。

 お互いの大技が激突し、海上に大きな衝撃音が響いたところだ。


「す、すごい威力だ……」


「にゃあ」


 我ながら驚きである。

 この猫耳装備は素でかなりのチート性能を持つ。

 その上、猫をイメージして発動した魔法などの攻撃は、さらにとんでもない威力のものになるのである。


「さて、ビッグ・ジョーは……」


 俺は辺りの気配を探る。

 いた。

 まだ生きている。


「しぶといな……ならば」


 俺は魔力を高める。


「……いけるか?」


「にゃあん」


 猫まるはまだまだ元気そうだ。

 これならやれるだろう。


「行くぞ!」


「にゃああ!!」


 猫まるが勢いよく泳ぎ始めた。


『シャー!』


 ビッグ・ジョーもこちらに向かって泳ぎ始める。


「ふんっ!」


 俺は魔力弾を連射するが、魔法障壁で防がれてしまう。


「なら!」


 俺は魔力を集中させ、剣を生成する。

 そして……。


「はあーっ! ネコソード!!!」


 ビッグ・ジョーめがけて振り下ろす。

 ズババババンッ!


『シャー!?』


 力を入れすぎたせいか、狙いが狂った。

 ビッグ・ジョーに避けられてしまう。

 外れたその剣撃は、海面を勢いよく切り裂いた。

 ザッパアアン!!

 海面が割れ、大量の海水が俺たちに向けて流れ込んでくる。


「しまった!」


 慌てて離れようとするが、間に合わない。


「にゃああ!!」


 猫まるが俺を掴んで離さない。


「猫まる!? 何をしているんだ! このままだと溺れちまう!!」


「にゃああ!!」


 ザッパァアーン!!

 俺たちはビッグ・ジョーもろとも、海の底へと落ちていく。


「ぐっ! がぼがぼ……」


 俺は水中でもがく。

 猫まるはまだ離してくれない。

 まさか、俺と心中するつもりなんじゃ……?

 いや、そんなはずはない。

 猫まるはいい奴だ。


「にゃあ!」


 猫まるの声が聞こえる。

 妙だな?

 ここは水中。

 音はもっとくぐもって聞こえるはずだが……。


「んん? 息ができる。苦しくない。これは……?」


「にゃにゃん」


 見ると、猫まるが得意げな顔をしていた。


「お前の力か?」


「にゃん!」


 そうか。

 こいつが魔法か何かを使ってくれたのだな。


「ありがとよ、猫まる」


「にゃあ!」


 俺は再びビッグ・ジョーの気配を探す。

 見つけた。

 奴はここまでのダメージと大波に飲み込まれた衝撃で、かなり弱っている様子だ。

 先ほどまでの水面付近での戦いより俺たちにって環境は不利だ。

 しかし、今の弱った奴なら何とかなるはずである。


「よし、今度こそ決めるぞ!」


 俺は再び魔力を高め始めた。


「にゃん!」


「くらえっ! ネコスラッシュ!!!」


 俺は剣を振り下ろした。


『シャァア!!』


 次の瞬間、ビッグ・ジョーの巨体が真っ二つになった。


「にゃあ」


「ふう……」


 どうやら倒せたようだ。

 ビッグ・ジョーは魔石を残して海の藻屑となった。


「やったな」


「にゃあ」


 俺たちは健闘を称え合う。

 奴の魔石はしっかりと回収しておく。


「しかし、結構しぶとかったな」


「にゃあ」


 チートの猫耳装備を持つ俺と、優秀な召喚獣である猫まるでも手こずるとは。

 まあ、相手に有利な環境での戦闘だったというのも大いに関係しているが。

 あと、俺がまだまだ猫耳装備を使いこなせていないというのもあるか。


 遠慮なく全力で魔法をぶっ放せば、陸地側からビッグ・ジョーを含めたこの一帯をまるごと攻撃できる。

 【ネコサンダー】【ネコアイス】【ネコバーン】など、使用候補の魔法はたくさんあるしな。

 だがそれをやってしまうと、自然環境に大きな悪影響が残る。

 それはさすがにまずいだろう。

 そういうわけで、俺たちは時間をかけてビッグ・ジョーを慎重に討伐したのだ。


 さて。

 無事に討伐したことだし、ユーリの待つ陸地に戻るとするか。

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