目覚め2
「あのぅ…」
恐る恐る声を出す。
なんとか牛を歩かせようとしていた男が、びくっとこちらへ首を回した。
「あんたは…?」
男は40くらいだろうか?茶髪で日に焼けた浅黒い肌を晒していた。
その顔を見たボクは悟った。あ、これ、ダメなやつだ、と。
男の額には、茶色い宝石が埋め込まれていて、キラキラと光を反射していたのだ。
おそらくボクは、死んでしまって異世界転生というやつをしてしまったんだろう、と。
耳にピアスとかならまだしも、額に穴を開けて宝石を埋め込むなんて人、見たことない。
「……あんたは何者なんだい?」
固まっているボクは、再度男に問いかけられた。
こっちが聞きたい。
「ボクはなんでここで寝ていたんでしょう?」
干し草を見ながら問いかける。
病院で寝ていたはずなのに、とはさすがに言えなかった。
「ああ?勝手に運んだのは悪かった。道端でおまえさんが寝ていたんだが、それを見つけたコイツが傍から動かなくなっちまってな。仕方なく乗せたんだ。エルムリッジまで行くところだが、問題なかったか?」
あああ、やっぱり。日本ですらなかった。
思わず天を仰ぐ。
「ニホン?」
やべ、声が漏れていたか。
男はけげんな顔で続けた。
「日本だぞ」




