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第一章23 立ち話

今年度もよろしくお願いいたします。

 草原の国、トゥーンヤーで、会食が催される。王を輩出するライオンの一族。武を司る虎の一族。他の国との交友や交渉、自国の商業などの主たるヒョウの一族。三つの一族は5年ほどに一回、いつまでも続くトゥーンヤーの栄光を誓うために、ルハボンに攻め入られる前から続く王族の屋敷に集まるのだ。

 今回は、ライオンの王は老衰のため欠席だ。そのため、シントー王子がこの会食の主催者となる。シントー王子は未婚であり、王でもない。それでもこの会食を開くことができたのは、知恵の悪魔の影響が大きいようだ。シントー王子は初め、会食を開くのを数年後にしようとしていた。しかし、知恵の悪魔は今年にすべきだと進言し、各方面に関わっていったようだ。

 どうしてーーー?

 金の国ゾルトの間諜を務める私は、金の国の役人としてこの会食に参加することにした。初めは「絶対受け入れられるわけないでしょ。」と考えていたのだが、なぜか参加を許可された。さすが穏やかすぎる草原の国だ。ルハボンに侵略されても平然と王族が暮らしていただけはある。

 結果、この会食の参加者は、ライオンの一族からシントー王子とトミヤ姫、虎の一族からスアとスア夫人、ヒョウの一族からダオとダオ夫人、知恵の悪魔と火の国の人と水の国の子供と私になったようだ。ずいぶんと色々な国から集まったメンバーだ。元来この会食は「次期継承者のお披露目」や「新たにその立場になった人の紹介」の意味合いが強かったらしい。しかし、今回は主催者のシントー王子はまだ王になってもいないし、子供もいない。そのため、スア夫婦やダオ夫婦は自分の子供を連れてくるのはやめたらしい。

 私が館に着いたとき、メイドと執事が出迎えてくれた。玄関ホールは今まで見た建物の中で一番広かった。ソファーなどがあり、ゆっくりできそうだ。自室に荷物を置き、玄関ホールに座ってのんびりしているときに、シントー王子たちがやってきた。

 シントー王子は自室に行った後、すぐに私のところへやって来た。

「あいさつが遅くなり申し訳ございません。金の国ゾルテのピサテ様ですね。」

「はい。この度はお招きいただきありがとうございます。シントー王子。」

うやうやしく礼をするライオンの王子に、こちらも立ち上がり礼を返す。筋肉隆々の身体は、この王子が真摯であることと富豪であることを表している。草の民の多くは栄養が足りずやせぎすである。ふくよかな体は貴族である証拠だ。その上で、胸が物理的にはち切れそうで、ポーラータイが浮いている。日々の鍛錬を欠かさないのだろう。

 それが武の象徴である虎の一族の反感を買っている。シントー王子は街を巡り歩き、民の前に姿を表している。この身体を見て民は安心を得るらしい。シントー王子の人気ぶりに対し、虎の一族の武に対して甘く見るような輩も現れているようだ。シントー王子は話す言葉も、貴族にしては民に優しく、親しみやすいと噂になっている。礼儀を決して欠かさない姿に、多くの貴族からも人気だ。それが政の象徴であるヒョウの一族の反感を買っている。

 つまり、嫉妬を受けやすい人ということだ。実際のところ、大きな実績はないのに人気が大きすぎるから、当然とも言える。

「金の国であるゾルトから様々な鉄器をいただいています。今後もぜひよしなにお取り計らいください。」

笑顔を向けてくるシントー王子に、最初はきょとんとしてしまう。そうだった。今の私はゾルトの役人だった。

「弊国の伝統文化をお褒めいただきありがとうございます。最近は、知恵の悪魔から提案いただいたという製鉄方法と合わせ、新たな鉄器の開発を進めることができています。」

たたら製鉄とかいう製鉄方法のおかげで、切れ味の良い刃物を作ることができるようになったと聞いている。知恵の悪魔が話したという情報は草の国の間諜から聞いたはずだが、事実ではあるので問題ないだろう。

「これからガラスの加工にも着手したいと考えております。」

ガラスは現在、びんや水さしなどに使われているが、

「加工ですか?また知恵の悪魔から何か仕入れたのでしたら、ぜひ試行などはゾルトにお任せください。」

シントー王子と握手を交わした。

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