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第一章20 技術

 私は悩んでいた。とてもじゃないがこんな環境では生きていくことはできない。

「ジョン万次郎は100日くらい無人島で生活したんだったかなあ。でも確か捕鯨船に助けられたはずだ。」

なんて、色んな思いを巡らせて解決策を探すが、なかなか見当たらない。

 今思えば、元の世界の技術のなんとすばらしかったことか。川が増水しても私たちの暮らしに被害が及ばないように堤防をつくるなど治水をしていたし、そういうことを分かっている人たちがこっちに転生すればよかったのにーーーーー。

 違和感を覚えた。

「転移じゃなくて、転生?」

ずっと自分は転生したものだと思っていた。思い込んでいた。どうして転移だと思わなかったんだろうか。

「知恵の悪魔、ちょっと来てください。」

ガロト少年に呼ばれて、私はその疑問は後においておくことにした。

「ビタミン不足だと思う。」

ベッドの少年は苦しそうに息をし、青ざめていた。

「断定しないんだな。」

シントー様に顔をのぞかれる。

「できませんから。」

きっと私は苦々しい顔をしているだろうに、シントー様はほほえんできた。なんなんだこの人は。

 やはりこのコー島からの脱出を図り、助けを求めなければならない。

「まずはのろし、それから舟かな・・・・・・。」

舟をつくり、海に出るということは、命がけである。そんなことはしたくない。まだボトルメールの方がましだろうか。

「舟をつくるのなら、浮力材が必要ですね。」

ガロト少年が私のつぶやきに答える。意外だった。

「ガロト君はそういうのに詳しいの?」

「詳しいというか、ぼくはここに技術を学びに来ているのです。」

「そうだったの。それじゃあお願い。あなたの知恵を私にちょうだい。」

「もちろんです。よろこんで。」

 私とガロト少年はああでもないこうでもないと話し合いながらイカダを作り上げた。途中、釣り人の青年に意見をもらったり、シントー様の力を借りて素材を集めたりした。ガロト少年はとても手先が器用だった。ひもを編むことも、木を組むことも容易にこなしてみせた。

「かっこうよいぞ少年。」

という歌を披露してガロト少年をちゃかしたタニヨンは、ガロト少年になぐられていた。なぐられるのもうれしそうにするタニヨンを見ている傷だらけの少年の様子を見て、少しずつほおが赤くなってきていることに気付いた。

「さて、このイカダですが・・・・・・。」

「私が一番体力がある。私が乗ろうか。」

シントー様が手を挙げる。

「小柄な私なら、食料をたくさん積めると思うんですが。」

少女がおずおずと手を挙げる。

「このあたりの海のことなら詳しいのは私じゃないか。」

釣り人の青年が手を挙げる。

 みんな私の方を見てきた。私に判断をゆだねてくる。

「いや、乗るのはやめましょう。それより、大きな音を立てる生き物っていませんかね。」

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