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第一章13 凱旋

 ヌン地方で一番大きい館。それがスアの家である。シントーはその屋敷で頭を抱えていた。知恵の悪魔がさらわれたのは自分のせいであるという自責の念。どうすれば解決できるのか分からなかった。誘拐犯からの要求もない。では、犯行の目的はなんなのか。

 悪魔の殺害ではないのか。

 向こうの要求を聞くために、屋敷で待機している。しかし、すぐに探しに出掛けた方がよいのではないか。時間は刻々と過ぎる。シントーは悩んでいた。

「シントー様!大変です!」

獣人の召使いが焦った様子で部屋に入ってきた。事態が動いた喜びと物事が悪い方に進んだのではないかという恐怖でシントーの表情はゆがんだ。

「毛無し達が街中で踊り狂っているそうです。」

「―――は?」


 街中では、ルハボン人達が神輿を背負いながら練り歩いていた。一緒に歩く人々は太鼓や笛で演奏したり歌ったり、音楽を奏でている。独特のリズムとメロディラインだ。

 大きな神輿の上で手を叩いたり踊ったりする人物がいる。知恵の悪魔だ。

「何をしているんだあいつは。」

 呆れた顔でながめていたら目が合った。こちらに気が付いたらしい。知恵の悪魔は手を振っている。シントーは再び頭を抱えた。

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