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第一章12 対話

 乱暴に土間に投げ捨てられる。その衝撃で目隠しがずれ、周りの様子をうかがうことができた。石と泥でできた家。そこにいたのは、7人のトカゲ人間だった。みんな布をまとうくらいで、ほぼ裸だ。日本の小学生くらいの身長の子供に見える人もいれば、しわが濃く腰を曲げている老人に見える人もいる。とかげでもそのようなしわが入ると年寄りに見えるものだなあ、と私はなんだか感心してしまった。見た目では男女の性差は見取れなかった。

 腰を掛けていた筋肉のついている人の足が無いことに気付いた。私のことを一番恨めし気に睨んでいるのはこの人だ。もしかしたら、この人が誘拐の主犯かもしれない。子供、老人、主犯らしき人以外の4人は、私を誘拐した実行犯だ。正直、どのくらいの年齢なのかもよく分からない。

 ルハボン人。「毛無し」と呼ばれ、下賎の民扱いを受けている人々。私は彼らのことを知らなすぎる。また知らないことが目の前に出てきた。悔しい。

「お前が悪魔か。」

主犯らしき人が訊いてきた。

「そうよ。何の用かしら。」

心臓がばくばくと高鳴っている。下手なことをしたら命を奪われるかもしれないのだ。この人たちとは穏やかに、対話をしなくてはならない。相手のことを知らないのに、今誘拐されたばかりで信用ならないのに、こんなに難しいことはない。

「悪魔はこの国を滅ぼすのか。」

感情がこもっている声だ。怒りだろうか。

「滅ぼさない。」

「どうしてだ。」

理由を聞かれてもなあ。答えに困ったので、話題をずらすことにした。

「えっと、あなた、名前は何て言うの?」

「サヒーハクだ。」

あれ、教えてくれるんだ。

「サヒーハクさんはどうしてそんなことを尋ねるの?この国を滅ぼしてほしいの?」

ダンッと音を立ててサヒーハクは座っていた木製の椅子を殴った。

「そんなことを聞いてどうする気だ。」

「どうもしないわ。あなたの意図を知りたいだけ。私と話をしたいのでしょう?」

ただの誘拐であるならば、私は軟禁されているはずだ。犯人たちの姿も見せられなければ、名前も教えてもらえないだろう。

「俺はお前のことを知りたいんだ。」

「私のどんなことを知りたいの?」

子供は枝で床に絵を描き始めた。老人はのんびりと家から出ていき、実行犯たちは横に寝そべる。違和感を覚えた。こいつら、だるけすぎじゃないか?

「何ができるのかをだ。」

「私は一人じゃ何もできないよ。」

「そんなわけないだろう!お前は悪魔なんだ!」

声を荒立てるサヒーハク。

「ちょっと落ち着きなよ、サヒーハク。」

実行犯の一人が話しかけた。サヒーハクと比べて声が高い。

「私も、悪魔なのに何もできないわけないと思うんだよね。」

「そうだな。何もできないわけじゃない。」

「ちょっと。言ってることが違うじゃないの。」

「違わないさ。私は『一人じゃ何もできない。』と言ったんだ。」

きょとんとした顔をした後、にやりと笑みを浮かべてさらに聞いてきた。

「じゃあ、誰と一緒だったらサヒーハクの足をもとに戻せるんだい?」

それが私が誘拐された理由だろうか。

「戻せない。私は魔法を使えない。」

「そういったことはできないと、じゃああんたには何ができるって言うんだ?」

「一緒に考えることができる。」

「はあ?」

顔が引きつっている。少し戸惑ったが、ここはしっかりとこちらの主張をさせてもらうことにした。

「私は知恵の悪魔だ。申し訳ないけれど、ルハボンのことはまだあまり知らなくてね。あなたたちのことを教えてほしい。そうすれば、新たな知識を授けましょう。私はそういう者だよ。有効活用してくれたまえ。」

 しん、と静まった。あっけに取られたのだろう。なんて言えばいいのか、トカゲ人間たちは悩み始めた。絵を描いていた子供が枝を置き、微笑みながら尋ねてきた。

「じゃあさ。どうしたら俺たち、足の呪いにかからなくなるか教えてくれよ。」

「私が知っていることは教えましょう。その代わり、あなたの知っていることを教えて。」

「あのね、山で働く人が多くかかるんだよね。山で働く人々はね、足の裏が厚いんだよ。だのに、時々足が動かなくなってしまう人が出るんだ。変でしょ。呪われているんだよ。それが足の呪い。」

ちらっとサヒーハクを見ると、どこから出したのか、ナイフで枝を切っていた。やっぱり。思っていたのだが、こいつらきっと頭がよくないぞ。私の誘拐は、きっとノリで行われたんじゃなかろうか。嘘だろって思うけれど、こいつらの行動からは「知恵の悪魔と話したい」以外の意図を感じない。だって、しっかりとした目的があるのならば、こんなに私のペースにもっていけるわけがないもの。


「ひとまず、私から提案があるのだけれども。」

子供は目を輝かせた。そんな大したことじゃないんだけどさ。

「くつをはいたらどう?」

定期的にアップロードするのは私には難しいようです。

申し訳ないのですが、「この話の続きを読んでみよう。」という方は、気長に待っていただけると助かります。

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