第一章11 考察
やってしまった。
もっと注意すべきだった。
今まではシントー様に守られていたのだ。
偉大なるリーダーに見守られ、罪を犯そうとする人は今までほとんどいなかった。
マパたちエミリノラ教団の影響もあったと思う。
多くの人の意識を犯行から遠のかせていた。
だから油断した。
ヌン地方に来てから見ていたのに。
小汚い格好をしたこじき。
道端に転がる何かの死体。
荒れ果てた建物。
簡単に言えば、治安が悪かったのだ。
いや、今まで過ごしていた地域の人々が純粋で真面目で善良な人々だっただけなのだ。
よくある国々ではこうなのだろう。
頭に被せられた布袋のせいで周りが見えない。
外務省は誘拐された場合、何より冷静になることが大切だと述べていたはずだ。
いや、思ったより胸のドキドキが止まらない。
「死ぬかもしれない。」という事実。
犯罪の被害者になっているという事実。
恐怖、不安、混乱が私の胸に押し寄せる。
落ち着け、落ち着け、と頭の中で唱えながら深呼吸をするが、パニックになっていると言わざるを得ないだろう。
一先ず、相手の要望を聞き、犯人の脅威となる行動をとらなければよいはずだ。
馬車に乗せられているのだろう。
がたごとと揺れる地面に、私の心臓の鼓動が負けないくらい鳴っている。
どうすべきだ。
どうすれば生き残れるのか。
私は周りの人に死んでほしくない。
その中には当然私も含まれているのだ。
死にたくない。
モーナ。
ふと、祈りの言葉が湧いてきた。
すると、少し、落ち着いてきた気がする。
私には、私にできることをすることしかできないのだ。
馬車が止まった。
毎月更新すると前回書いたのに、もうできませんでした。
年度初めで忙しかったということで許してほしいです。




