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最悪なクラス委員長

月曜日。


『ふう。』

バケツに入れた水は拭いたモップを浸すたびに透明が灰色に濁っていく。学校の教室というのはそれほど床が汚れている。上履きでトイレや汚れた廊下を歩くのだから、致し方ないのだ。拭けば拭くほど床は綺麗になっていく。見た目が綺麗になる。しかし、澄み切っていたバケツの水はどんどん灰色が濃くなっていく。


バケツの水を捨てる。バケツにはこれまでの汚れが付いており、簡単には落ちない。


教室の扉が開く。


『アンタ、ちゃんとやってたのよね??』


『あ、うん。委員長に言われた通りだよ。』


『ふーん。まあまあね。』


『・・・・。』


『何よ、気持ち悪い。アンタはとにかく教室から出ていってちょうだい。始業ギリギリまで図書館にでもいたら?』


『わかった。』



僕は言われるがまま出ていく。








始業の鐘が鳴る間際、気配を消して教室に入る。

『委員長、さっすがあ!』

『みんなが使う教室だからねっ!少しでも綺麗にしておこうと思ってね。』

『さすが、委員長!!いやあ、真似できねえわあ。』


『ねえケイちゃんもそう思うでしょ?』


僕は声の方を一瞥した。


『ま、まあ、そうね。ま、でもねみんなの使い方がいいのもあるわよね。』


『ケイちゃん、ツンデレー!!ケイちゃんのとこが一番綺麗じゃん!』


『・・・そうだね。』


委員長はそんな歯切れの悪いケイちゃんのコメントに苛立ちを隠せなかったようだ。








『ごぽっ、ごぽぽぽぽっ!』

『アンタがねえ!ちゃんと掃除しなかったから、ケイちゃんはあんな反応だったのよお!?ふざけんじゃないわよ!アンタ、手を抜いたでしょ?』


旧校舎のトイレ。

誰も来ないトイレの掃除用具を洗う専用の洗面台は並々と水が張られており、そこに顔を沈められていた。委員長くらいなら男の僕でもなんとかなりそうだけど、あいにく手錠にスタンガンでは勝ち目がない。


『ぐはっ、ご、ごめんなさい、ごめんなさいごめんなさい!ごぽっ、』


『アンタみたいな居てもいなくてもいいカスはね、せいぜい私みたいな優秀な女の役立つくらいしかね、役回りはないのよっ!』



委員長は気がすんだのか、僕を洗面台から引きずり落とす。びしょ濡れだ。旧校舎の冷たい床が僕の体温を下げていく。


『良かったじゃない!風呂に入る手間が省けたわねっ!』


委員長は手錠を外さずにその場を去った。

寒い。旧校舎のトイレの窓の外からは、鈴虫の音が聞こえる。



『なんとか、立ち上がらないと。』


死んでしまう。手錠をどう外すか。


『ふん!』


ドアの取っ手に鎖部分をかけて体重を載せた。

バキッと音がした。取っ手が壊れた。


『まずいなあ。』


体重を載せても壊れなさそうなもの。

洗面台の蛇口に手錠の鎖をかけて思い切り前に体重をかけた。


『痛いっ!』


ずるっと鎖は抜け落ちて、僕は顔面から床に突っ込んだ。



目の前が赤くなる。鼻が痛い。

僕はそれでも立ち上がる。思考したのではなく、このままだと死んでしまうという恐らく本能だけで動いていたのだろう。



最後はよく覚えてない。

『ーーーしま。鹿島!ボクがっ、ボクがわかるか??』


ああそうだ。

いつも助けてくれるのは。

今も思うよ。



最凶最悪の幼なじみだってね。

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