罠
『ひょー、今日の新入生もいいカラダしてたなあ。』
真島は赤ら顔で、渋谷の道玄坂から出てきた。
あいつはまた、新入生を酔わせて持ち帰ったらしい。
『はあ、寒いな今日は。もう1人くらい一緒にベッドに潜りたいものだなあ。』
真島はルックスはそこそこだが、鍛えあげられた筋肉に程よく焼かれた小麦色の肌に、金髪という一見すると爽やかさが相まって印象はいいのだ。
それで、飲み会をああも仕切っていれば、勘違いする女の子もいるだろう。
『しかし、あんなに手を出しまくってたらなあ。』
『そこが彼のせこいところよ。』
一度大学でやつに付き纏うような女子大生に遭遇した。
『真島先輩!』
『うん?キミ誰。』
『この前、私とホテル行きましたよね?』
『うーん、どうだか。何?子どもできちゃった?』
『私、産みますから。』
『はあ、、はいはい。これで堕してよ。お釣りいらない。これでも足りないならここ電話して。俺の親父弁護士だから。』
札束を3つ。
女子大生は涙ぐんでいた。
『本気だったのに・・・。』
『あ?もしかして、もう一度抱かれたい感じー?いいよ、彼女じゃなくてそっちのお友達なら大歓迎♪』
女子大生は金を受け取り、真島にビンタして去っていった。
やつの日常だ。
それでも騙される被害者が減らないのは弁護士の父の仕事が的確だからだろう。
『そんで、どうすんの?』
『まあ見ておいてよ。刺客が向かうからさ。』
『ふーん。』
ある日。
『久しぶり、真島。元気かな?』
『おう、元気よ。』
メッセージのやりとりはすぐに帰ってくる。
『久しぶりにさ、ご飯行こうよ。渋谷の道玄坂に美味しいフレンチが出来たんだ。』
『へえ、奢り??』
『奢りじゃなきゃ、こない?』
『嘘嘘!行くよ!いつ?』
『次の金曜日。』
『じゃあハチ公前で!』
久しぶりに会えるのかあ。
俺がずっと憧れていたアイツに。
『しかも道玄坂付近とはね。キメるっしょ。』
芋臭い新入生抱くのも、マンネリしてたからな。
ぜってえ、持ち帰ってやるわ。
俺はそう決意すると、スーツを新調することにした。芋臭い女子大生と違い、ちゃんとした格好でないとなめられるからなあ。




