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僕は死んじゃったんだね?多分。

ある放課後の夕方。

校舎裏の桜の木の下で。




『あ、有島さん!キミが好きなんだ!ぼ、僕と付き合ってください!!』


流れるような黒髪。

すらっと伸びる腕と足。

学年1の人気を誇る有島カリンに僕は告白した。



有島さんは困ったような表情でクスリと笑う。


『ごめんね、鹿島くん。まだあなたのことはよくわからないから。その普通に(・・・)クラスメイトとしてならお付き合いはじめてもいいけど・・・・。』


『そ、そうだよね。ごめんよ、困らせてしまったよね。』


僕は締まりのない弛んだ腹をさらに緩ませるようにしながら、肩を落とす。



『じゃあいいかしら。私、帰らないといけないから。』


『あ、うん。ごめんね。』




有島さんは腰まで伸びる黒髪を手の甲で、肩の後ろに払い、その場を立ち去った。



僕にしては頑張ったはずだ。

今まで好きな人がいても、この体型を気にして告白なんてしなかった。





『鹿島、思いは伝えないと。』


親友(・・)の真島 きんに言われた言葉だ。真島はいつも僕の背中を押してくれる。唯一無二の親友だ。



真島にチャットする。


『お前のおかげで一歩踏み出せたぜ。』


いつも通り(・・・・・)、既読がつくがすぐに返事はない。



ああなんて晴れ晴れした気持ちなんだろうか。


僕は今、最高の気分だ。





♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎


ある放課後の夕方。

校舎裏の桜の木の下で。




『がっ、うぐっ、あがっ!』


足を空中でじたばたする。締め上がっていく首。軋む紐の音。じわじわなんてものじゃない。

『た、助けて・・・・。』


目の前が白んでいく。



『はっはっはっはー!!バーカ!バーカ!』


『調子乗ってんじゃねえよ。デブがっ!』


『おいおい、やり過ぎると死んじまうぜ?』



息ができない。

かろうじて足元の踏み台が僕の命をつなぐ。

しかし、つま先しかついてない。少しバランスを崩すと、死んでしまう。


『はあっ、はあっ、はあっ!!!』




『ねえ、そろそろやめたらあっ?ひと殺しなんてまっぴらよ。』


『へいへい、お姫様。じゃあ、縄切ってやるか。あ・・・・。』



ガタンっ!


踏み台の感触が無い。

目の前が赤く染まっていく。


『バカやろう!紐切れよ!』


『切るものなんてないわよ!』


『は、早く踏み台を・・・。』


踏み台は倒れたはずみで半壊していた。




締まっていく首と視界。

くそ、、このまま僕は死ぬのか。

このままやり直す事もないまま、人生を終えるなんてまっぴらだ!!


バキッ!



あ、、、多分そうだ。

経験はないけど、これは多分。



首の骨が折れた音だった。



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