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53話 模擬戦①

「さてコウガ殿、まずはお互いを知る為に模擬戦と行こうか」

「分かった、よろしくお願いします」


 ティナは長剣と大盾を構えて、俺がどう動いてくるか伺っている。

 俺は身体強化を掛けて、まずは魔法で攻めてみる。


「ファイアーアロー!」

「無詠唱!?ふっ、面白い!」


 火の矢を3つ形成して放つ、それぞれ真っ直ぐティナに向かっていくが大盾に防がれる。

 火の矢が大盾に触れた瞬間、薄らとだが盾が光って火の矢が弾かれた。

 あの光は……もしや魔法耐性による障壁か?


「魔法耐性付きの盾……ですか」

「うむ、この盾を魔法で破るなら火力が大事になってくるぞ」

「なるほどな、まだまだ行くぞ!」


 俺は横に走って、ティナの周りをファイアーアローを連続で放つ。

 魔法耐性があるとはいえ、連続して魔法を受け続けたら効いてくるかもしれない。


「ふむ……なかなかに鬱陶しいな……ならば!蒼破!」


 盾の横よりティナの剣が見えたと思ったら光り出し、剣先を地面に擦り付けながら俺に向かって振り抜かれると、衝撃波が地面を伝って走ってくる。

 しかも、ファイアーアローと衝撃波がぶつかるとファイアーアローが消滅するくらいの火力だ。


「うお!?」


 俺は衝撃波を避ける為に、一旦魔法を止めてジャンプする。


「魔法が止んだな、ふっ!」


 タンクとは思えぬ瞬発力で、ティナさんがこちらに詰め寄ってくる。

 ジャンプしていた為にすぐに動き出す事が出来ず、接近戦に持ち込まれた。


「おらっ!」


 ティナさんの長剣による薙ぎ払いをナイフ2本で受け止めるも、物凄い力で受け止めきれず吹き飛ばされた。


「ぐおっ!?なんてパワーだ」


 吹き飛ばされるも、狼に変身して身軽になっている俺は地面に手を着いて受身をし、何とか着地する。

 しかし、吹き飛ばされてる最中にも、ティナは俺に追撃するべく詰め寄ってきており、上段切りが迫って来ていた。

 このまま受け止めても地面に叩き付けられるだけ、避けられないなら受け流すしかない!

 長剣をナイフで受け止めた際に、力の入っているだろう方向に力が抜けるように、ナイフの角度を変えて受け流す。


「む!?」


 受け流されて空振りしたティナは、剣を振り抜いているが為に少し隙が生まれる、しかし剣を受け流した衝撃でナイフを振るえそうにない、そこでティナを蹴り飛ばしてその流れでバックステップをして距離を空ける。


「ふっ、やるな」

「今のは危なかった、受け流し失敗したら負けていた」

「1度剣を受けただけで剣筋を見極め受け流すなんて、驚いたよ」

「器用なのが自慢なんだ、剣筋が分かったのはたまたまだったが」

「ふむ、そのたまたまが続けばいいがな!」


 再度ティナはこちらに走って詰め寄ってくる、俺はアクセルブーストで距離を詰められないように動いて隙を伺う。


「ちょこまかと……ふっ!」


 ティナは蒼波を連発し、俺の足止めしてきた。

 連発してきた蒼破の1つが足にあたってしまい、アクセルブーストが解除されてバランスを崩した。


「し、しまっ!」


 その場で倒れ込んでしまった。


「大地の力よ、かの者の……」

「まずい!魔法も使うのか!?」


 俺は急いで立ち上がってティナさんに詰めよろうとしたが、蒼破により足を少しやられていたのと、蒼波により地面が抉れていて最初の加速が上手くいかず、魔法の詠唱を許してしまった。


「抑えつけろ!グラビティプレス!」

「ぐっ!?」


 グラビティプレス、以前ミラさんが操られたシェミィに使った重力束縛系魔法だ。


「う……動けない……!」


 抑えつけている内にティナさんがこちらに走ってくる、グラビティプレスが解けるまで抵抗しなければ負ける。


「あ、アイスウォール!」


 咄嗟にアイスウォールを繰り出して時間を稼ぐ、ティナさんは走りながらアイスウォールに蒼破を放つが壊れなかった。


「硬い!これならどうだ!重撃!」


 剣が赤く染まり、思いっきり振り抜かれた剣がアイスウォールを粉々に砕く。

 もう破られた!?早く解けろ……!

 グラビティプレス発動から6秒……7秒!身体が軽くなる、解けた!


「ちっ!間に合わなかったか!」


 俺は痛む足を我慢してアクセルブーストを発動し、敢えてティナさんの背後へ抜ける。


「なっ!?」


 距離を取ると思っていたのか、こちらに走ってくるとは思わず、対応が遅れて背後を取られたティナ。

 俺はナイフに風魔力を込めて解き放つ。


「風刃!」

「仕方ない、ふん!!」


 ティナの身体から衝撃波に近い風圧が発生し、俺と風刃もろとも吹き飛ばされた。


「うおわっ!?」


 吹き飛ばされた衝撃が強くて倒れ込む、顔を起こすとティナの身体から赤いオーラが纏っていて、とてつもない力だと理解させられた。

 決着がついた、強すぎる……


「ティナが覚醒を使ったのか、コウガさん凄いな」


 遠目から眺めていたミツキさんが驚きの言葉を発したのだった。


 ーーーソルトsideーーー


「じゃ、やりましょうか」

「よろしくお願いしまっす!」


 自分と戦うのは、同じ狼であるレインさん。

 武器を見るにショートソード、素早さを活かすにはやっぱり身軽な武器が選ばれるっすね。

 師匠が武器を使わない人だったっすから、自分は武器使わない人になっちゃったっす。

 でも武器持ちにも負けないように、今日はレインさんにしっかり仕込んでもらうっす。


「あなた、武器はないの?」

「自分は武器使わないっすね、篭手と靴と足首に装備が付いてるだけっす」

「剣相手キツくないかしら?」

「対人は特定の人としかしないっすから、剣の対人慣れしたいっすね」

「丁度いいわ、仕込んであげる」

「お願いしまっす!」


 自分は構える必要ないんでそのままっすけど、レインさんは剣を構えてこちらを伺ってるっすね。

 こちらから行くっすか……


「「身体強化!」」


 狼人の多くは持っている基本強化スキル、そりゃあるっすよね。


「じゃ、行くっすよ!瞬歩!」


 瞬歩で距離を詰めて、脇腹に蹴りを入れようとしたがショートソードで防がれる。


 やっぱり反射神経は鋭いっすね、しかも初見で瞬歩からの蹴りを防ぐとは……強いっすね。


「あっぶな!まさかの蹴り技!?」

「まだまだ行くっすよ!」


 ハイキック、ローキック、回し蹴り、2段蹴りと連撃の如く繰り出す。


「くっ、なんて連撃……しかも脚技しか使わないなんて、こんなの初めてよ……」

「自分脚技しか使えない人っすから、最初は驚いてみんな当たってくれるんすけど、レインさんは流石に初見で全部防がれたっすね、かなり強いってこれだけで分かるっす」

「そりゃどうもっ!」


 蹴りを防いでいた剣で弾き返されたので一旦距離を取る。


「これでも私達、Aランクパーティだから」


 AランクPTだったんすね、その強さには納得っす。

 ご主人の方をチラ見しても魔法を全て防がれてるっぽいっすね。


「次は私ね、行くわよ!疾風剣!」


 風が一瞬レインの身体を舞ったと思ったらこちらに一直線な突きが繰り出される。


「うおっ!?」


 自慢のフットワークで何とか躱したっすけど……一直線とはいえ早すぎっす!?

 なんて速度っすか……!


「へぇ……これ躱すんだ」

「……っ」

「次、行くわよ!」


 レインは身体に風を纏わせてそれを脚に集中させると、またしても凄いスピードでこちらに駆けてきて、胴へ薙ぎ払いを入れてくる。

 篭手でギリギリ防御が間に合ったが、レインに連撃をお返しされる。

 全て篭手で防ぎきるのは難しく、数発程身を切られてしまった。


「ぐっ……」

「私のスピードには、まだついてこれないみたいね」

「悔しいっすけど、そうみたいっす……回復したらもう1回良いっすか?」

「ええ、もちろんよ」


 自分はミツキさんに薬を貰って傷口を回復させてから再チャレンジ。


「ふっ!」


 レインのスピードガン振りの連撃が再度繰り広げられた。


 自分も負けてられないっす、見極めて止めないと……!


「ガードばかりね、守ってばかりだと勝てないわよ!」


 キンキンキンと篭手と剣がぶつかり合う音が鳴り響く。

 そして、足元へ薙ぎ払いを受けそうになった瞬間、ソルトが仕掛ける。


「そこだ!!」

「!?」


 足元を狙った薙ぎ払いをジャンプして靴の裏で食い止める、そして両靴の裏で剣を挟み込んで身体を思いっきり捻る。


「うおおおおっ!!」


 身体の捻りにより、剣を持っていたレインの手が捻られた。


「いっ!?きゃぁぁ!」


 レインは捻られたその反動で倒れてしまい剣を離してしまった。


「これで、自分の勝ちっす」


 ソルトが踵落としをして、レインの首元で寸止めしようとした瞬間にレインに脚を掴まれる、防御が間に合ったのだ。


「!?」

「まだよ……まだ負けてない!!」


 レインはそのまま後ろへソルトを投げ飛ばした。


「くっ……」

「私を本気にさせたわね……いいわ、掛かってきなさい!」


 レインはファイティングポーズを取る。


「ま、まさか剣だけじゃなく体術まで!?」


 レインVSソルト、決着までもう少し。


カクヨムと重複投稿です

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