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34話 ありえない……!

 ミルト村で1泊した俺達。

 村に入る前はストームキャットことシェミィの姿で門番に驚かれるが、テイムされていると分かっているので騒ぎにはならなかった。


「さて、今日も野ウサギ討伐と行くか!もう大群になるほど集まっていなければ終われるんだが……」

「恐らく昨日みたいな集まり方はしてないとは思うけれど……巣穴も確認しないとだと思うわ、巣穴を確認して少なくなってればOKとしましょうか」

「巣穴か……確かに、昨日の討伐で警戒して巣穴に潜んでるだけで、まだまだいっぱい居るかもしれないからな」


 今日も鳥達をテイムし、今回は野ウサギの巣穴を見付けてもらうとしよう。


「お前達、野ウサギの巣穴探し頼んだぞ」

「鳥さんお願いね!」


 昨日と同じく8羽散り散りに飛び去って巣穴を探しに行ってくれた。


「さて、鳥達が戻ってくるまで俺達も巣穴探そうか。野ウサギはどの辺に巣を作るんだ?」

「そうね、基本的には地面に穴を掘って巣にするタイプだけれど、たまに木の根だったり洞窟の中、岩陰にも巣を作る場合があるみたいよ?」

「へぇ、メイラン物知りだな」

「野ウサギはこういう平原だけでなく山脈にも居たりするのよ、私の故郷の山脈にも野ウサギが居るから知っていただけよ」

「なるほどな」


 そう言えば、メイランの故郷の話や何故奴隷になったのかっていう話を全く聞いた事ないな……話題が出ないから話さないだけだとは思うが、話さないって事は話したくないって事の可能性も否定出来ない。

 本人が自然と話してくれるのを待った方がいいかもしれないな、知りたい所ではあるが。


「ご主人様、向こうに森林地帯があるよ!地面に巣食うとしても良い隠れ家になるんじゃないかな?」

「確かに、その可能性ありそうだな。行ってみるか」


 森林地帯へ足を進めた俺達、平原に現れる魔物とは生態が異なるので、しっかり索敵しつつ移動する。

 俺は現在狼人族の姿だ、森林内だとこちらの方が動きやすいからな。


「カエデ、メイラン、索敵反応があった。前方に魔物が散らばるように多数いる、気をつけてくれ」

「「了解」」


 ゆっくり索敵反応に近付いて行くが、敵の姿が見えない。


「どういう事だ?索敵反応あるのに姿が全く見えないぞ」

「地面に潜っているか、上手く隠れてるのかもしれないわ」

「分かった、シェミィも何か気付いたら教えて……」


 ゴゴゴゴゴゴッ


「!?な、何!?」


 周辺から地響きが起きている、未だに敵の姿が見えない。


「「!!」」


 俺とカエデは、スキルの危険察知が何かが来ると知らせてくれてすぐさま後方へバックステップをする。

 すると地面から木の根が突き出てきた。


「きゃぁぁ!」


 メイランが避ける事が出来ず、根っこにより突き上げられ、更に木の根に捕まって締め上げられる。


「ぐあぁっ……」

「っ、メイラン!アクセルブースト!」


 俺はすぐさまアクセルブーストで加速し、メイランに巻き付いてる木の根をナイフで切る、風の魔力を纏わせているので切れ味は抜群だ。

 メイランが解放されて、地面に落下する前にシェミィが背中で受け止めてくれた。

 メイランは意識はあるが、不意にダメージを受けてしまった事もあってダメージが大きかったようだ、腕を押さえて顔を歪めている。


「ありがとうシェミィ!」

「ご主人様!敵が何か分かったよ!木に化けた魔物が周りにいっぱいいる!」


 索敵スキルを確認すると、前方に反応があった魔物にいつの間にか囲まれていた。

 よく見ると木の根っこが動いており胴体に赤い目が付いている、間違いないトレントだ!


「カエデ、コイツらはトレントだ!上手く木々に紛れて攻撃してくる、注意しろ!」

「了解!シェミィ!メイランちゃんを頼んだよ!」

「にゃう!」


 シェミィはメイランを乗せて一時的に退避する。


「カエデ、トレントを見失うなよ」

「大丈夫、しっかり見えてるよ。違いが分かった今は間違わない」

「OK、カエデは右手の方を頼む。俺は左手を」


 ちなみに俺が行く左手側の方がトレントの数は多い、何故こちら側を選んだかと言ったらカエデは打撃系だからだ。

 前世からのイメージだと、打撃より斬撃の方がダメージの通りが良かったと思う。


「分かった、気をつけてねご主人様」

「あぁ、カエデもな」


 俺達は顔を見合わせて1度頷く、そして同時に駆け出した。


「「アクセルブースト!」」


 俺は左手側に駆け出して1体目のトレントに切りかかる。

 風の魔力を纏わせているので切れ味は良いが、1度切るだけでは倒し切れないようだ。

 トレントを倒すには胴体を2つに切り離すか、一定のダメージを与えると身体の維持が出来なくなって倒れるってのが基本のはずだ。


「ならば!」


 俺はナイフに纏わせた風の魔力を刃と変えて斬撃を飛ばす。


「風刃!」


 ジルさんとの模擬戦で初披露した技だ、この風刃の斬撃は上手く真ん中から当たればトレントを両断出来る大きさはある。

 予測通りトレントの身体を横から真っ二つに切り離し倒す事が出来た。


「よし、この調子で……っとっと!」


 俺に向かって伸びてくる木の根を避ける、姿をくらます上に木の根による長距離攻撃、なかなかに厄介だ。

 俺やカエデみたいに、危険察知があれば初見でもトレントの攻撃を見切る事は出来る。

 しかし、メイランのように危険察知がない人に地面からの攻撃はなかなか厳しいんじゃないか?トレントってあまり強くないイメージがあったのだが……この世界ではトレントは強い部類なのか?

 それにこのトレント……統率が取れているように感じる、トレントって群れる敵ではなかったような……?調べる必要がありそうだ。


 こちら側のトレントはどうやら討伐したようだ。

 索敵反応を見るとカエデ側は後1体で終わりそうだ、と言っていたら敵反応が消失、カエデも仕留め終わったようだ。


「ご主人様!大丈夫だった?」

「あぁ、何とか避けられたからな、カエデも見た感じ大丈夫そうだな」

「うん、反射神経は結構自信あるからね!メイランちゃん大丈夫かな?」

「俺のヒールとポーションで多分治せると思うっと、シェミィとメイランが帰ってきたみたいだ」


 シェミィがメイランを乗せて帰ってきた、メイランは身体を起こしていたが腕を押さえている、最初の攻撃でやられたようだ。


「ごめんなさい、コウガ様……」

「大丈夫だ、あれをいきなり避けるのは難しいだろうからな……俺達は危険察知ってスキルがあったから助かっただけで、無かったら同じようにやられてたと思うぞ」

「そうかしら……?コウガ様ならスキルなくとも躱しそうな気がするわ……」

「メイランちゃん、取り敢えずこれ飲んで、回復のポーションだよ」

「ありがとうカエデ、頂くわ」

「ヒール」


 ポーションと俺のヒールの合わせ技でメイランの傷とダメージを癒していく、骨は幸いにも折れていなかったようなので、少し時間をかけて完治させる事が出来た。


「ありがとうコウガ様カエデ、もう痛くないわ」

「無理はしないようにな、完治してよかった」

「ええ、骨までいかなかったから助かったわ、自分の防御力のお陰ね」


 メイランの防御力はDある、俺とカエデ2人よりは耐久値が高いのだ。


「俺とカエデは防御力が低いから気を付けないとな……」

「そうね、私の防御力であれだけダメージ入るのだから、2人が喰らえば大怪我は免れないわ」

「気を付けるとしよう、それよりも気になる事があってな」

「気になる事??」

「あぁ、トレントの統率が取れていて厄介に感じた、この世界のトレントは統率取れるのか?それに何だかトレントにしては強すぎる気がして」


 戦ってる最中に感じた事を2人に話してみた、特にメイランがだが、おかしいと思ったのか首を傾げた。


「おかしいわね、トレントは統率取る魔物じゃないはずだけど……まさか」

「まさか?」

「トレントの上位種が居る可能性があるわね、だとしても統率取るのかと言われたら違うような気もするのだけれど」

「なるほど……調べる必要がありそうだ、野ウサギの件が片付いたら調べるとしよう、ん?」


 話していると野ウサギを捜索させていた鳥が帰ってきてピーピー鳴いていた。

 しかし、昨日のような鳴き方ではなく何か怯えているような鳴き方だった。


「何だ……?鳴き方が昨日とは違うぞ」

「何か強い魔物が現れたのかもしれないわね……確認してみましょう」

「確認して、ヤバそうなら一旦退避だ」

「「了解」」


 鳥達が案内してくれてる先で、とんでもない索敵反応があった。


「なっ!?なんだこれは……!?」

「ご主人様!?どうしたの!?」

「赤い反応が多数、そして緑の反応も大多数……尋常じゃない程の量だぞ!?」

「「!?」」


 俺達は足を止めた、何やら危険な香りがプンプンする。


「どうする?ご主人様」

「これはギルドに報告する必要がありそうだ、索敵反応の姿を確認し次第、一旦サンビークに戻ろう」

「分かったわ、しっかり隠れて行きましょう……」


 木々や草木に隠れつつ大量の索敵反応に近付いて行き、何の反応なのかを確認する。


 俺達はその光景をみて驚愕した。

 トレントの生態を知っているメイランすら、その光景をみて信じられないと目を見開いている。


 その光景の先には。


 巨大で身体が真っ赤になったトレントの上位種的な魔物が、野ウサギの身体に根っこを刺して血を吸い上げている光景が広がっていた。

 周りに居たトレント達も野ウサギの血を吸っている。

 そして巨大なトレントの木の根の下に、野ウサギの巣らしき大穴が空いている。

 トレントが野ウサギを守り、守ってもらう代わりに大量発生した野ウサギの一部をトレントに明け渡すという、ありえない状況になっているようだ。


「なに……これ、こんなのありえない……わよ」

「一体どうなってるんだ……?」


 トレントは普通地面の養分を吸って生きている、それが生き血を吸うなんて……まずありえない。

 俺達は信じられない物をみて、身体が動かなくなってしまっていた。


 周りをどんどんトレント達に囲まれているとも気付かずに……


カクヨムと重複投稿です

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