始まり
俺は、奇妙な少女達と出会った。 それがこれから大きな出来事になるとはまだ誰も知らない。
遡ること数時間ほど前、学校から帰る前に日直の仕事を教室でしていた。もう一人の日直は何故か帰ってしまった。日誌も書き終わり、先生に提出してからすぐ帰れるように窓の鍵がちゃんと閉まっているか確認したその時、空から何か落ちてきた。しかも地面に打ち付けられるようなドンッという音がした。窓を開け、下を見てみると変な格好をしていて倒れている三人の人がいた。俺がいる教室は三階、空からということはもっと高いところだ。死んでいてもおかしくはない。俺は急いで三人が倒れていた裏庭に向かった。
裏庭に着き、三人の女性に「大丈夫か」と近づいたが、一人の女性が「近づくな!」と叫んだ。気があるみたいだ。しかし、近づくな!と言われても助けないわけにはいかない。二人はまだ気を失っているみたいだし、一人は気があるが、動けないみたいだしな。気がある人には「余計なお世話だ」と言われたが三人を頑張って日陰まで運んだ。
三人を見るとやはり変な格好をしている。全員、欧米や西洋風の服だ。へそが出ている人もいて、ちょっとドキッとした。
「今、養護の先生を呼んでくるから待ってろよ」
と、呼びにいこうとしたが
「だから、なにもしなくてもいい」
と断られた。だからといって放置はできないので養護の先生を呼びにいった。
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先生を呼び、裏庭へと二人で走っていった。しかし、さっきの所には誰もいない。周りも捜したが、いない。
「本当にいたんですか?」
「本当です。ここのはずなのに…」
もう、五分ほど捜したが見つからなかったので、教室に置いてきてしまった日誌を先生に提出し、家へ帰った。
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帰る途中、家に帰ってから何をしようか考えていると、前にさっきの三人が辺りを見回しながら歩いている。
あの三人歩けるようになったんだな。でも俺が気にすることないよな。近づくなって言われてるし、もう歩けるようだし。
けれども急に俺の家の前に三人で止まり、インターホンを押さずにコンコンとノックをしている。
何であいつらが?
「おーい。誰かいるかー」
何回かそう女が言ってるとガチャとドアが開き、妹の梨緒が出てきた。
「どちら様で?」
妹がそう質問している。そりゃあそうだよな。
「私はカティナ・シャーラだ」
裏庭で断った人がそう言い
「私はライハナ・サラカーナです!」
元気な女の子がそう言う。そして
「ぼ、僕はロニハミ・カラーリ」
小さい子がそう言った。
「はあ。家に何のようでしょうか。てか、何ですかその服。コスプレ?」
「コスプレ?何ですかそれ?この服は普通の服でしょう。逆にあなた達の服、見たこともないですよ。」
「はい?」
少しこの話題で言い争い?になり何の用があったのか話すのに時間がかかった。しかし、あの欧米、西洋?風の服が普通とはどういうことだ?というか家に行くタイミングがない。
「まあいいでしょう。本題に入ります。ここに泊まりさせてください。」
「は?何でですか?」
は?梨緒と同じことを思った。意味がわからない。
すると、ライハナという人がカティナという人の代わりに理由を説明した。
「実は泊まる所がなくて最悪、野宿でもいいのですがここには寝る所はまあまあ、あるにしても、そこに食べ物がない。魔獣や獣くらいいないのですか?」
「魔獣?二次元じゃないんだしいるわけないじゃん。獣はこんな住宅街にいないよ。泊まるのは、まあ悪そうな人達には見えないし・・・お兄ちゃんに聞くか」
「二次元とは?」
「えっとリアルじゃないもの?」
「えっ!ここには魔獣という存在がいないの!?」
えっ逆にいるの!?
「ここは異…世界?」
逆に異世界の住人?…そう心の中でツッコミつつ、家に帰るタイミングを伺っていた。すると、梨緒が俺の存在に気付き、手招きしている。俺はそれに従い、家の方に行った。
「ただいま」
「おかえり」
あの三人も俺に気付き、カティナが俺に驚いた。
「お前、さっきの!?」
「よ、よぉ!」
すると、他の三人が俺達に聞く「知り合いなの?」と。
「「ま、まぁ」」
「そういえばお前達の名前を聞いてなかったな」
俺達に用事があるくせにちょっと上から目線だな。
「俺は前木士狼。高校二年生だ」
「私は士狼の妹の前木梨緒。高校一年生です」
言い終えると梨緒が何でこの人達がいるのか教えてくれた。
俺も聞いたんだがな。
「何でこの家に泊まろうと?」
「適当に、だ」
悪い人そうには見えないし、断ったら変な服を来ているから目立ってしまい、可哀想だ。泊まらせてあげよう。
「泊まってもいいぞ」
「「「本当!!」」」
梨緒はマジ?って顔をしているが仕方ない。
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三人は家に入るといろいろな物に驚いている。例えば、いや、ほとんど全てに。なんだこれはなんだこれはと連呼している。梨緒も俺も若干、引いている。
とりあえず、リビングに行き、ソファーに座ってもらった。ここでも、なんだこれはと言っている。しかし、よっぽど貧乏じゃない限り、これほど驚くのはおかしい。本当に異世界の住人かも知れん。
「あの、あなた達の居た所ってやっぱり魔獣がいたり、もっと貧乏?みたいな所だったんですか?」
この質問にカティナが即答した。
「確かに魔獣はいたが、貧乏とはなんだ。私達は兎も角、ライハナ様はイーグの王女様だぞ!」
「イーグ?」
そんな国は聞いたことがない。梨緒もキョトンとしている。スマホで調べたものの、出てこなかった。
「イーグを知らないのか!?この世界の中でも大きい国だぞ!」
イーグ…一体何処なんだ?