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私のスイッチ

作者: R_

挿絵(By みてみん)


 私の胸にはひとつのスイッチがある。



 それは心臓と同じようにドクドクと脈を打っている。触ってみると少し温かい。けれどずっと触っていると落ち着かない気持ちになる。少し強く押してみるとびっくりするくらい痛い。


 周りの人を見てみても、胸にスイッチがある人は居ない。



 みんなは物珍しそうに私のスイッチをジロジロと見た。時にはスイッチを押して私の反応を楽しむ人もいた。私は痛くて声も出ず、その人は満足そうに笑ってどこかへ消えた。


 涙を堪えていると、別の人が大丈夫かと声をかけ背中を優しく撫でてくれた。


 けれどその人の目は私のスイッチをじっと見ていた。



 ある日、みんなが私のスイッチを指さして可哀想と呟いた。可哀想という言葉が聞こえる度、私のスイッチの脈は早くなっていく。誰もスイッチに触ってないのに、何故だか痛みを感じる。


 スイッチがあると可哀想なんだと、その日分かった。



 私はスイッチが嫌いじゃない。けれど、みんなは私のスイッチがとても嫌いなんだそうだ。

 誰にも迷惑をかけてないのに、ただ私の胸にそっとあるだけなのに。この温かくて、かわいくて、愛おしいスイッチは存在してはいけないものなんだって。


 まるで私の為だと言わんばかりに、それが正義であるかのように、それが救いであるかのように。


挿絵(By みてみん)


 私のスイッチは、みんなの手によって、私の胸から引きちぎられた。



 良かったね、そう言ってみんな笑った。誰の目にも、私の胸から流れる赤色の液体は見えてなかった。私の流す涙は、嬉し涙だと思っているようだった。



 私の胸にはひとつのスイッチがあった。それは確かに私の胸にあった。温かくて優しくて脆くて弱くて、愛おしい私のスイッチ。


 今はもう冷たくなって動かない、私のスイッチ。



私のスイッチは無くなってしまったけれど、もしあなたが同じようなものをまだ持っているなら、大切にしてください。


Twitter(@R_xRR_xR)に私のスイッチのイラストを載せています。宜しければ見てください。

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