8話 診察
シルバとの出会いから1日が開け、辺境伯の別荘へと向かう。
検査用の医療魔道具一式が結構重い…異空間収納にしまいたいが、人目もあるから
我慢だ。シルバには部屋で待ってもらっている。
ニ男の偉そうな態度を見かねて飛び蹴りが炸裂しかねない…
ニ男の名前は ヨハネス ストレイン、13歳だ。辺境伯が前の魔物騒動でicnmsの協力の為、領地を離れている間、母に甘やかされたのだろう…大分ワガママで診察の時もうるさい。
三男のクリップ、9歳。落ち着いていて、診察も直ぐに済むから有難い。
到着したら、玄関の呼び鈴を鳴らし、名乗るとメイドが鍵を開けてくれた。
「お待ちしておりました。私、ヨハネス様の専属メイドを務めております。
お部屋で待たれていますのでご案内致します」
(あれっ、今日は素直に待ってるのか。痛い事も何もしてないのに逃げ出す
事もあったのに前々回は「体調が優れないから」とかいって診察断わろうと
してたな〜。具合悪いって言われて帰る医者がどこに居るんだよ…)
「それではお願い致します」
部屋に案内されたが姿が見当たらない。するとメイドが部屋の鍵をかける音がした。
「はっ、今日こそ診察を逃れてやるぞ。このクソガキ〜。くらえ、火炎弾!」
小規模なマッチの残りカス見たいなのが飛んでくる。
「Erase 。(魔法消去) さぁ、ヨハネス様診察のお時間です」
そう言って、満面の笑顔で近づく。
観念したヨハネスは大人しく診察を受けるしか無かった。
心音が少し遅いな、身体検査機になるべく多くの魔力を流し、もう一度
検査をすると肝臓に異常があった。
この症状は恐らく何かしらの毒が入り、器官の機能が低下している…
もしや、イコルスタの実だろうか。地下の食料庫でしか保存が効かない嗜好品だ。
確か、大人がよく、酒のお供にしていた。
大人には問題無いが、スコルという成分が入っていて、免疫機能が備わってない身体
には負担が大きすぎるのだ。
仕方なく、薬草で毒消しを作る。調合が簡単な薬だったのは助かった。
朝晩服用で一週間の服用だ。
ヨハネスの耳元で囁く。
「全く今回は炎魔法ですか…懲りませんねヨハネス様それはそうと食料庫に忍び込みましたね。」
ヨハネスの顔がひきつる。
「イコルスタはまだお早いかと…子供には毒性が高いんです。最近疲れるのが早いでしょう。確か辺境伯夫人の大好物でしたよね…それを盗み食いはよろしくありません。」
「ちょっ、それは…」
「御安心下さい。こちらに朝晩服用で一週間分の毒消しがありますがどうします?
今後、私の祖母などの診察を素直に受けて下さるならこの薬は胃薬として処方致しますよ。」
「分かった、分かったから、頼むから黙っていてくれ。」
「分かりました。次からの診察は円滑に進みますね。ではこちらはメイドに
お渡ししておきます。部屋の鍵を開けていただけますか?」
満面の笑みで部屋を去り、次はクリップの部屋へと向かう。
「どうぞ〜。お入り下さい。最近、元気ですかシンリーさん。」
「私は元気ですよ。クリップ様は元気ですか?」
「最近は結構だるいです。」
身体検査機に魔力を通す。
そして頭から検査すると直ぐに異常を検査機が知らせていた。
(なっ、頭部に異常はマズイ。将来、彼は村に絶対必要だ。)
オリジナル魔法「魔神眼」で精密検査をする。
(サンデー、状態は?)
[A. 頭部の左脳後方に初期の腫瘍が確認できます。この世界一般医学では治療出来ません。]
それではマズイ、今、自分が出来る中で最高の処置を施すしか無い。
クリップには僕の秘密を共有してもらおう。
「クリップ。落ち着いて聞いて欲しい。今から特殊な処置をするが他言無用でお願いします。」
「分かりました…お願いします。」
「tumor analysis(腫瘍解析)」
「tumorAbsolute separation (腫瘍絶対分離)」
「Absolute erase(絶対消去)」
「Pinpoint absolute repair healing(局所絶対修復治癒)」
「Cell repair healing(細胞修復治癒)」
「終了です。何か異変や異常はありませんか?」
「大丈夫です。体も少し軽くなったような…」
「もうご安心ください。それでは一カ月後にお会いしましょう」
その後、ぐったりした自分は夕食もとらずに爆睡してしまったのはいうまでも無かった。
細かい繊細さが必要な治癒系魔法は魔力消費が特に激しいのだ。
玄関で倒れ込んだ俺をシルバが部屋まで運んでくれたのはありがたかった。