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 とりあえずゆっくりと話せるところにといわれたので、適当なカフェなんぞに入ってみた。

 そこで各々飲み物を頼みつつ互いに状況説明と相成った。

 なんでも二階堂とかいう汚物の恩師は大変激怒したらしい。何をといえば、その乱脈交際っぷりだった。

 不純異性交遊が日課となったその爛れた日々にこのような人間が自分の教え子であるという事実すら疎ましいと。二度と関わり合いになることはないし、他の教え子にも関わり合いになるなと命じたそうだ。

 そういうことを教えてくれた元同級生は斎藤さんという。

「まあ、奴さんに被害にあったかわいそうな女の子を助けるためと証言してくれるなら救いの手を差し出してやらなくもないと」

 と恩着せがましく言われたのだが。こういう場合交換条件を要求されるのがお約束だ。念のためスマホの録音機能をセットした。

 俺はかいつまんで状況を説明する。

 あの阿保がよりによって蝶の絵の付いた扇なんぞを握りしめて死んでくれたせいで、姉が容疑者呼ばわりされてとても迷惑している。

「なるほどねえ、蝶の付いた扇は暗号で犯人の名前を示しているのではないか。なかなか劇的な話だ」

 大げさに気障っぽく腕を組んでうんうんと頷く。

「モチーフになるのは蝶と扇と鏡ね、なるほどなるほど」

 決め顔をしたつもりなんだろうが、イマイチ地味顔では決まらないという厳粛な事実を伝えたもんだろうかと思ったが俺としてもどうでもいい。

 そして、どうでもいいとりあえず、これはこちら持ちなんだろうなと思いつつ、コーヒーと紅茶をぼんやりと見つめた。

 斎藤さんがコーヒー、俺が紅茶だ。

 似合わないと言われるが俺は実は紅茶党だったりする。

 「問題はね、蝶を表現するためだったのか扇を表現するためだったのかどちらかがわからないということだね」

 扇であれば、いいのに。扇に関係するかどうかうちの毛利という苗字に引っかかるかどうか知らんが。

「まあ、でも絵画に限られるかな、確かにうちが絵画を先行しているのは確かだけど。そういう暗号ならほら、家紋という可能性もあるだろう?」

「その家の名字にそった家紋ね、でもそんなもんわざわざ警察が調べるかな」

「警察にそこまでの柔軟性を求めるのはちょっと間違っていると思うけどね」

 まあそうだ。

「鏡なら、思いついたことがあるんだけど」

「どんなことです?」

「でも、扇と蝶がわからなければ意味がないよ、どう考えてもそちらが主だ」

 そこを何とかと拝み倒す。

「鏡はね、これは古代ギリシャ人に由来するんだけど」

 あれ、モロ犯人ズバリじゃね?

「まあ、説明に付き合ってあげるけど、期待はしないでね」

 ありがとうございます、こちらも頑張ります。

 俺はちょっとだけ斎藤さんに感謝した。


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