第四話 不遇職【鍛治師】
四月四日、登場人物を一人増やしました。
「読んで字の如く、鍛治をするのに長けた職業やね」
柚子たちは「へぇ〜」と興味津々といった様子で僕の話に聞き入っている。
「話を聞いた通りだと【鍛治師】って武器は使えるんですか?」
「優星君はうちの妹と違って鋭いな。一応そのことに関しては掲示板でも書かれてるんやけど、僕の口から言わせてもらうわ」
「お願いします!」
僕は優星君の質問に答える。
掲示板では【鍛治師】でもないのに職業の説明書きから推測して、あたかも『自分の言っていることは正しい』と思っている連中かいる。
「つまり『自分で鍛えた武器』なら何でも装備できるってことですか…」
「せやせや、ほんま君らは話が分かる子らやな」
でも話を聞いた物分かりの良いこの子たちなら、きっとあの質問をするだろう。
「だったら何で【鍛治師】は不遇職認定されてるんですか?」
僕は思った通りの質問が寄越されたので「この子らほんま最高やな」と小さく呟く。そして説明を続ける。
「つまり何の根拠も無い憶測で【鍛治師】は不遇職に認定されたってことですか?!」
「そうや。ほんま頭来るよな」
「「「はい!!」」」
僕は「ほんまに良え子らやわ」と目を細めてニコリと笑う。
僕は両拳を握っていかにも
「怒ってます!」と言わんばかりの彼女たちに向かって「せやけど…」と繋げる。
「そのお蔭で【鍛治師】は日陰職になったから、僕としては結果オーライやね」
僕はふふと笑い、皆に見えるようにして『マップシステム』を広げる。
「【始まりの魔森】に着いたみたいやで?」
僕が言うと彼女たちの顔付きは一瞬にして真剣なものとなった。
僕はその切り替えを見て「期待の新人、やね」と聞こえない大きさの声で呟いた。