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5.モフモフモフモフ

 紹介してもらった騎獣以外に、隅っこでぼんやり空を見ている白茶色の子が居たので近付いてみました。


「この子は?」

「ロンバだね。性格は穏やかだけど頑固。何事にも動じない騎獣かな。力は強いし乗り易いけど、マイペースだから速さは期待しない方が良いよ」


 リャマのようなロバっぽい騎獣。散策にはぴったりじゃないかな?見る感じ、モフ感はなかなかのものです。リスのウォルさんがロンバに触れる光景は良いですね。ファンタジーですね。


「この子は借りられます?」

「うーん。本人次第かな」

「問題でもあるのですか?」

「人の好き嫌いが激しいんだ。気に入られるかどうかだね」


 では挨拶してみましょうか。


「こんにちは。今、私と契約してくれる子を探してるんだけど君はどうかな?触っても良い?」


 ロンバ君?(あっ、(くん)みたい)がじっとこちらを見つめます。

 しばらく間があった後、スッと鼻先を私に寄せてきました。ここぞとばかりにモフモフ、ワシャワシャご機嫌を取ります。うははこれはたまらん。なかなか良いモフをお持ちで。ひとしきりスキンシップを取ったら、心なしかロンバ君も笑顔に見えて仲良くなれた気がします。


「相性は良さそうだね。さっそく乗る練習をしようか」


 ウォルさんが笑いながら鞍を持ってきてくれました。いきなり大丈夫でしょうか?振り返って不安な視線をミミさんに送るとにっこり笑い返してくれます。


「ステラ様なら乗りこなせますよ。私が居りますので何かあってもお助けします」

「うんうん僕も居るよ〜。落ちてもしっぽで受け止めてあげる」


 むしろ落ちたい。


「お願いします」


 鞍もフォークロア……民族調の鞍で可愛いですね。こういう細かいところに気を使う感じ好きですよ。

 ゆっくり乗ったロンバ君の乗り心地はかなり安定していました。現実ではこうはいかないんだろうけど、ゲーム内は補正が働いているのか初めてでも落ち着く感じです。


「乗れましたー」

「うん上出来。じゃあ歩く、駆け足、止まる、降りる、の練習をしようね」

「はい」


 それから一通りの練習、スキル・騎獣手配(ライド)のやり方。ロンバ君扱いの注意などを教えてもらい、契約の運びとなりました。


 ◇


 騎獣は1匹だけの契約なら、ちゃんと世話をするという条件でレンタル代は要りませんでした。2匹目からはお金が要るらしいです。ミミさんが用意してくれた服にはポシェット型がま口財布が付いていて、最初に支給されるお金が入っていましたが使わずに済んだよ。

 それから転移石をもらいました。色々な形があって私はバングル型に。ロンバ君も対となる物がシッポの付け根に付いてます。邪魔にならないようフヨフヨと浮いてる転移石はいかにも魔道具っぽいですよね。


「ロンバの世話と食事の用意はしっかりね。しないと怒って勝手に帰ってきちゃうよ。呼びたいときは渡した転移石に触れて<ロンバおいで>、ここに返したいときは転移石に3秒以上触れて<ありがとう>って言えば帰るよ。じゃあこれから地上まで送るから着いたら試してみて」


 地上に降りて言われた通りにロンバ君を呼ぶと、ウォルさんは「またね」と言って帰っていきました。すぐに会うことになると思うので笑顔でさよならです。


 ◇


 遅くなりましたが、海に向けて出発です。南に行く道はなだらかな坂になっていて、ロンバ君の背中に乗りながら、まったり散策。ミミさんはロンバ君の頭に乗せてもらってます。ロンバ君はミミさんのことも好きみたい。良い子です。


「この子は星の加護を受けているので相性が良いのです」

「?」

「ちなみにステラ様も星の加護を持っていますよ」

「?」

「私は星の系譜の者なのですよ」

「?」


 まあ名前はステラだから星だけど……ミミさんが言うには加護の相性と言うものがありまして、全員なんらかの加護を受けてこの世界に降り立っているらしいです。その際、案内人(この場合ミミさんだね)の影響を多分に受けるとのこと。ロンバ君のことが気になったのは、加護の引き合う力もあったらしい。

 加護は相性が良くなる程度なので、そこまで神経質に考えなくてもよいってことでした。

 加護を気にして、いつまでも始められない人とか居そうだもんね。どうしてもって案内人に言えば、自分で選び直すことが出来るようだし。


 あーそれにしてもまったり出来るなあ。ゲームの中だけど寝ちゃいそう。天気もよいし、景色も穏やかだし、言うことないよ。おうちも楽しみだし、自由に遊べるっていいね。


 ◇


 しばらくすると入り江が遠目ながら見えてきました。前には森が広がっているので、ここを通り抜ける必要がありそうですね。


「森にはモンスターが居るかもしれません」

「一度も戦ったことないままここまで来ましたけど、平気でしょうか?街周辺に行って弱いモンスターとバトルの練習した方がよくないです?」

「まあ大丈夫でしょう。どこであろうと変わりませんから」


 ミミさんがニッコリ笑います。ええーいくらミミさんの言葉でも怖いよ。


「では、入る前に精霊召喚(サモン)の練習をしておきましょうか」


 お願いします。今までのまったり気分から打って変わって切実です。


「お願いします」

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