表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/6

3.育成開始

 島の中央にやってきました。草原が広がっています。こういう場所なら低木で埋まりそうですが、人の手が入っているような牧草地になっていますね。


「今更なんですが、土地って勝手に使っても良いものなのですか?」


 素朴な疑問をミミさんに聞いてみました。


「ご安心を。むしろ推奨されるべき行為です」


 いまいち分からないという表情をしているとミミさんが言葉を続ける。


「この世界は何かしら行動すると霊力が生産されます」


 霊力、はい。


「霊力とは様々なものの力の源です。その霊力で場を満たすと生命の循環がはじまり、世界が活性化されるのです」


 続けてミミさんに聞いた色々な話を要約すると、誰も居ない土地よりも人が遊ぶ土地である方が世界さんも元気になるらしい。

 もっと簡単に言うと、気にせず好き勝手やれということでした。

 ただ他のプレイヤーとのトラブルを避けるためにホームの設定をする必要があるとのこと。設定は早い者勝ちらしいですが、これだけ広い世界なら争いになることもないでしょう。


「では、おうちのタネを選んで下さい」


 種!?タネ、種子。おうちは植物ですか。

 色々な形、色、大きさがあります。宝石みたいで綺麗ですね。


「こちらは、ご自身の直感で選んで下さいね」

「実は一目見て気になっているのがあるんです」

「どちらでございましょう?」

「これです」


 他のタネより小さく埋もれて見えたけれど、ぼんやりと光る透明なタネ。こんぺいとうのような形で、ほんのりと青みがかって綺麗です。


「フフ、可愛らしいタネを選ばれましたね。ではお好きなところに植えて下さい」


 ミミさんに道具を借りてタネを植える。その後、魔法のジョウロでたっぷり水やりです。


「すぐに芽が出ますよ」


 そうミミさんが言うと、地面からゆっくりと芽が出てポンっと弾けるような音がして双葉が開きました。


「このまま育つと、おうちが生るのは明日になります。時計薬という薬を使えば短縮出来ますがどうされますか?ゲームを始めた方に無料で進呈しておりますが」

「このまま自然に育つのを待ちます。その方が楽しみも増えますし」

「そうですか。その場合でも時計薬はお渡ししていますのでお持ちください」

「ありがとうございます」


 楽しみだなー。はやくおうちを見てみたかったけど、成長する姿を見るのも楽しいもんね。もう四葉が出てるし!魔法のように少しずつ大きくなる姿は驚きです。


「この後はどうされますか?」


 植えたら一日やることないんだもんね。ずっと見守っていたいけど、長時間だとログイン制限もあるしどうしよう。


「ご使用の携帯端末のアプリで、おうちの状況がログアウトしていても確認出来ますよ。おうち成長の様子は録画機能で自動収録されていますので後で繰り返し見ることも出来ます」


 至れり尽くせりだね。製作者の愛を感じるよ。


「もう少しだけ見守って、あとの時間は島を散策したいと思います」

「分かりました。ではこの時間はお茶にでもしましょうか」


 ステッキくるり。


 紅茶のセットとテーブルとチェアが出てきた。もうなにそれください。本格的な物ではなく、カジュアルに楽しむティータイムって感じだけど、そこにもミミさんの心遣いが表れていて、さりげないけど素敵なもので溢れている。家具はアンティーク調チーク材のもの。カップは白地無地のものに控えめな凹凸の模様が付いている。お菓子は3種のベリータルトだね。

 このあと、成長するおうちのタネを眺めながらしっかりお茶を楽しみました。まったり系ゲーマーにおすすめ星5だよ。


 ◇


 さてと、休憩も終わったし散策開始です。まずは南の入り江に向かいたいと思います。海がただ見たかっただけなんだけどね。移動は徒歩でと思っていたら、ミミさんから助言が。


「これだけ広うございますと移動はなかなか大変なので、書の力を借りてみては?」


 書、ステラの書ですか。


「書のスキルを確認して下さい」


 えーっと本を開けばいいのかな?おっとメニュー出現。


 ・精霊召喚(サモン)(ランダム)Lv.1

 ・従魔契約(テイム)(ロック)Lv.1

 ・騎獣手配(ライド)(レンタル)

 ・世界移動(テレポート)


 なにやら楽しそうな羅列が。


「騎獣手配と世界移動は全ての武器にある固定スキルです。これがないと、この世界の移動は大変なので」


 そうだねー。目的の場所に行くまでに1日とか普通にかかりそう。


「世界移動は指定のポータルに移動出来るスキルです。ポータルは現在、2カ所の街がプレイヤーには解放されています。それに加えて先ほど設定したホームポータルとの移動が可能となっております。」


 ポータル。街の出入り口とか門のことだね。


「探索には世界移動は向きませんので、騎獣手配を使用することになります」


 ほー、これは冒険好きの人にも楽しめそうなスキルですね。


「騎獣は自分だけのものを飼うことが出来るようになりますよ。その際はスキル名が変わりますが、それはそのときのお楽しみということで。初回は騎獣を運ぶ箱船を呼んでレンタル契約からです」


 ……はこぶはこぶね。


「箱船を呼びましょうか。世界中飛び回っていますが、近くの箱船が空の扉から跳躍してくると思いますよ」

「箱船って空を飛んでいるんですか」


 思わず聞いてしまった。空飛ぶ船とか、これ私が好きなやつだ。出来れば乗っけて貰いたい。結構壮大だなあ。


「ええ。今は暇してると思うのですぐだと」


 ゲーム開始初日に暇とは?


「ではどうぞ。スキル詳細を読めば、そのスキルの使い方が載っています」


 えーっとナニナニ?初回時における騎獣レンタルの仕方は……


「ヘイ!アーク!」


 タクシーか!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ