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日曜はクラス会だから

 フルカワさんたち3人に加えて、フルカワさんと同中だったらしい女子が他のクラスからも入って来てキタガワの周りがうるさい。

 …ダメだ私。今日もやっぱりキタガワの事を気にし過ぎだ。

 「え~~」とユウミちゃんが言う。「それだったらちょっと行ってみてもいいかな。ナカちゃんも行くなら。遊園地久しぶりだし面白そう」

アイちゃんが可愛く小首をかしげて私に聞く。「ねえ?ナカちゃんもいい?」

私だけ難色示すのもなぁ…「うん…私もアイちゃんとユウミちゃんがいいって言うなら…」

「中田!」

え…

「中田って!」振り返ったキタガワが私を呼ぶ。

急にビックリした。「…なに?」

 フルカワさんたちにガン見されてるんですけど私。



 「この間言ってたクラス会の話なんだけど、」とキタガワが言う。「連絡来てたわ。ちょっと3組一緒に行こ」

3組?クラス会の話で3組に行くの?3組に誰がいたっけ?

 考えているうちに、立ちあがってこっちに来たキタガワにパッと手首を掴まれてびっくりする。

「忘れてた忘れてた」とキタガワ。「ほら、早くって。今今今今…」

 え、え、え、…とあたふたしているうちに教室から連れ出される。廊下をずんずん進むキタガワに引っ張られて1棟へ続く渡り廊下へ。

 3組に行くんじゃないの!?

 いやちょっと!手を掴まれたままはちょっと!

 少し力を入れて手を抜いてみようとしたけれど、ぎゅっと握られていてそのまま。



 クラス会の話って何だろう。一度もそんな話は出てないし、キタガワとは中3の時クラス違ったのに。中学みんなで集まろうっていうような巨大なプロジェクトが進んでるとか…

 渡り廊下の、もう1棟の校舎近くまで行ってキタガワが止まり手を離す。

「あの…ねぇキヨト君は?キヨト君は連れて来なくて良かったの?」

「はぁ?」とキレた感じでキタガワが返してくるのでビクっとする。

「いや…クラス会っていうから。キタガワ、クラス違ったのに。それって中学全体でって話?」

「クラス会なんかねぇよ」

「…」はぁ!?

「じゃあ日曜クラス会な」

「…どういう事?」今クラス会ないって言ったばっか。


 変な事を言ってるのはキタガワなのに、そのキタガワの方がちょっとキレてるってどういう事?

「なんでそんな」ムッとしたままのキタガワが言う。「友達の彼氏のその友達とかと、会った事もねぇのにいきなり遊園地とか行けんだよお前」

「…」

「…」

「…」

 無言の私に無言のキタガワ。いや、無言でそんなに見つめられたら目を反らすしかないんだけど。

 私たちの話、聞いてたの?そんなに声デカかったかな私たち…。



 「昨日の、昼のゆず茶飲んだ?」と今度は急に話を変えられる。

「…帰ってから飲んだけど」

ちっ、と舌打ちするキタガワ。

 飲んじゃマズかったの!?そっか!お金払ってないし…

「あの…やっぱ昨日のお金払おうか?」と言ってみる。

「いらねえつったじゃん」

「…」わけがわからん…

「じゃあクラス会日曜10時な」

眉間にしわを寄せてしまう。

「ハハハ」とキタガワが笑う。「なんかお前、今ブスになってるけど」

「!!」

 ブス…

 ブスって言われた!

 むかし好きだった男子に目の前でブスって言われた…こんなチャラくて他の女子に調子良い事ばっか言ってるやつに、久しぶりにしゃべったと思ったらなんで私だけブスって言われんよ!?



 反撃したいのに、結構衝撃くらって言葉が出ない。

 …結構ていうかかなり衝撃くらった…

「ごめんて」ちょっと笑いながら言うキタガワ。「…そんな顔すんなよ」

止めてよ、余計傷付くんだけど…


 だから傷付いてるのを隠すために「うるさいよもう」と私は頑張って言ってみる。

「それより、そのクラス会キヨト君とかも知ってんの?私何にも連絡来てなかった」

「だから!クラス会じゃねえって」

「今クラス会って言ってたじゃん!ていうかキタガワ、クラス違ったじゃん。うちのクラス、もうゴールデンウィークに集まったよ」

「…キヨトと行ったの?」

「一緒に行ったわけじゃないけど、いろいろ連絡くれた」

「…へ~。ラインとかしてんだ」

「その時はね」

「それ以外の時は?」

「たまに用事があった時には」

「どんな?」

「…」

「どんな?」

「ごめんそのクラス会って何!?」

「ん~~…と小学のクラス会?」

「小学の!?」そんな話はじめて聞いた。

「まぁちょいちょい声かけ合って来れるやつだけちょっと集まって顔見ようっていうような簡単なやつだよ」

「…」



「…お前…オレと小学結構クラス一緒になってたの、忘れたわけじゃねえよな」

またキレ気味で言われたのに赤くなりそうで慌てる。

 忘れるわけないのに。

 

 「そういうわけだから日曜」とムッとした感じで続けるキタガワ。「さっき言ってた日曜日の、わけのわかんねえ合コンみたいなやつは断れよ?」

「…」

「10時。万田小の校庭。わかった?」

「校庭に集まるの!?その小学のクラス会、どんな子たちが来る?女子もたくさん来る?」

「…」キタガワが腕時計を見る。

「ねえ、6年の時は違ったじゃんクラス」

「つぅ事でお前出席にしとくからな」

「え、でも私…」アイちゃんから誘われた方が先だったのに…

「そういうのって良くないから」キタガワが真面目な顔で言う。「そんな初めて会うやつと遊園地とかありえねえ。何回か話をしたり、そいで意気投合してからの遊園地だろ?それにほんとはそういうの困ったなって思ってんだろお前。行ってもぜってえ楽しくねえって」

私もそう思ってるけど…

「はいじゃあ教室帰るぞ。サワダにはちゃんと言っとけよ。その日はクラス会だって」

「3組に誰がいたっけ」

「誰もいねえわ」

「…」



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