表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/20

いた事ねえ

 教室に帰ると、フルカワさんたちはまだキタガワのいた席の近くにいて私たちを待ち構えていた。

「クラス会って何~~?うちらも行きたい~~」

「フルカワ、小学違うじゃん」優しげに答えるキタガワ。

私に喋るときとトーン違うんですけど!私は顔がブスになってるって言われたんですけど!!

「小学の同窓会すんの!?中学じゃなくて!?」とヨコヤマが聞く。「そんな仲良かったん?小学のクラス」

まぁまぁな、とキタガワが答える。


 「ていうか」とヨコヤマ。「ここ出てくときお前、中田さんの手ぇ引っ張ってたじゃん。そんなに仲良かったん?」

「引っ張ってたっけ?」と淡々と答えるキタガワ。

「え、てことは」とフルカワさんが入って来る。「中田さんてカナエと小学も一緒だったって事?」

キタガワにではなく私に聞いて来た。あいまいな笑顔を浮かべ頷くだけの私。

「マジで~やだちょっと卒アル持ってきて中田さん~~」

持って来ないよ、あんな重いやつ。第一、なんで私の小学時代をフルカワさんにわざわざ見せなきゃいけない。…ってまぁフルカワさんはちっちゃいキタガワが見たいだけなのはもちろんわかってるけどさ。

 6年生の時のキタガワはね…もう今に近い感じになってたからね…そこまで面白みはないよね。その前のもっとちっちゃい頃のビミョーなキタガワの良さなんて私にしかわかんないしね!

 その頃のキタガワをフルカワさんには見せたくない。

 


 「サワダ」キタガワがアイちゃんを呼んだ。「なんかさっき日曜に中田を誘ってたらしいけど、日曜クラス会あるから。先に言わなくて悪かったけど、中田そっちに行く事になったから」

アイちゃんにちゃんと言えって言ったくせに、私が言うより先にキタガワが言ってくれた。

 悪いな、と言ったキタガワに、「そうなんだ~」とすぐ了承するアイちゃん。

「なら仕方ないや~~」アイちゃんが意味ありげに私に微笑んで言った。「彼氏にはまた今度って連絡しとくねナカちゃん」




 家に帰ったらアイちゃんとユウミちゃんからラインが来た。

「キタガワ君、2日連続でナカちゃん連れて行ったね」

「フルカワさんが絡んできてるとこで、ね?」

うん、しか返せない私だ。

「小学のクラス会やるなんてよっぽどみんな仲良かったんだね。中学の話はちょっと出ても、小学の話まで今になったら出ないよね普通」とアイちゃん。

「小中高キタガワ君といっしょなんて、女子にすごいうらやましがられそうだね!!なんか今日もフルカワさんがちょっと怖い顔でナカちゃん見てたし」とユウミちゃん。「なんか私がどきどきしたよ」

「アイちゃんごめんね」と私は謝る。「せっかく誘ってくれたのに」

「だいじょぶだいじょぶ。彼氏もうまく友達に言ってくれたし。逆にこっちが勝手にセッティングしたみたいだったから」

「もしかしてキタガワ君てナカちゃんの事が好きなんじゃないの?」とユウミちゃん。

「そんなわけないよ」速攻で否定した。「高校入ってからもそんなに喋った事もなかったし。クラス会の事も急だったからびっくりした」

「ナカちゃんは?」アイちゃんに聞かれる。「キタガワ君の事好きじゃないの?かっこいいじゃん」

好きだったけどね…私が好きだった頃の方が、キタガワもっとずっとカッコ良かったけどね。

「キタガワ君かっこいいけど、みんなに優しいからビミョーだよね」とユウミちゃん。

 ビミョーっていうかがっくりなんだって。



 …誰にでも良い顔して相手してても、そこはやっぱり好き嫌いがあってフルカワさんの事苦手なのかもねキタガワ。二日続けてフルカワさんの前から私を巻き添えにして逃げたような感じになってるもんね…。

 マジで止めて欲しい。

 フルカワさんの事、どっちかって言ったら断然苦手なんだけど、フルカワさんに嫌われるのは嫌なんだよね…。仲良くなんてならなくていいけど睨まれたくはないのだ。

 中学でキタガワと噂になった女の子たちって結構みんなフルカワさんぽい感じだったけどな…ああいう感じが好きってわけじゃなかったのか…

 …そうか!前の彼女を思い出すから苦手とか!

 ふざけてんなキタガワ!



 この間キタガワは今彼女いないって言ってた。…言ってたっていうか言ってるのが聞こえてきた。ヨコヤマに「ほんとのほんとはどうなん」て聞かれて、「いねえわ。いた事ねえわ」って言ってた。

「ウソつけや」とヨコヤマに言われてたけど…

 …私も速攻ヨコヤマと同じ突っ込みを心の中で入れていた。やっぱ嘘つきだよね!私が噂聞いただけでも確実に4、5人は…

 …うわ、そうか…そう言ってた方がさらに女子ウケいいから?ヤダな、あざといな…もうほんとイヤだ。



 クラス会、どんな子たちがくるのかな…小学一緒の子で今一緒の高校って、キタガワと後他のクラスにいる男子二人だけ。

 私は中学ではスマホ持たしてもらえなくて、この高校に推薦入学が決まった時にやっとお母さんが持つのを許してくれたから、今小学一緒だった子でライン知ってる子は5人だけ。その誰からもクラス会の話なんて出てないし…。それでもし内輪だけで話が進んでたらと思うと、後から誘われた私は「クラス会の話なんだけど…」なんて話、誰にも振れない。

 …誰が来るんだろう…仲良くしてくれてた子がいなかったら行きにくい…でもキタガワ来るんなら…いやぁでも小学の時とは打って変わったキタガワが、私をほったらかしにして他の女子と調子よく絡むのを見るだけに終わったら嫌だなぁ…

 やっぱり行くのを止めようと思ったが、連絡しようにもキタガワのラインを知らないので取りあえず明日。明日学校で話そう。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ