最後の一滴
痛い、体が痛い。
「ごめんね。私のせいでこんな事になって」
自分は何故道路の真ん中で倒れているのだろう。
「私が道路に飛び出さなかったらこんな事にはならなかったのに、私のせいだね」
彼女は僕に何度も謝り続け、しばらく経ち救急車が来ると言った。
「あなたは助かるから、死なないから、生き続けるから」
もう、涙も枯れ静かな表情だ。
「だから、さようなら」
救急車に運ばれている自分を見つめながら、彼女は枯れ果てているはずの涙が最後の一滴、頬を伝って流れた。
今日も学校がある。
なぜなら今日が月曜日だから…。
憂鬱だ…。
「全く、今日はなんで月曜日なんだ。」
「そんなの決まっているだろ。」
学校へと登校をする道、春休みが終わりそして今日、始業式があるのだ。
「で、何が決まってるんだ」
「それは昨日が日曜日だからさ!」
なぜか、キメ顔でこちらを見ている。
ツッこまれたいのだろうか?
「そんなことより、お前よく進級できたな!」
もちろんツッこむわけでもなく、さらっと話の方向を変える。
「ああ、ツッこまれなかったし話が痛いところに変えやがって」
「僕は余裕だけどな」
「はいはい、頭のいいやつはいいですの~」
かばんを振り回しながらだらだらと文句を言い始めてしまった。
「お前も勉強しろよ~」
「そろそろ、2年か」
文句を垂れていたその口はいつの間にか真面目なものになっていた。
そして直ぐにその意味を悟る。
「何か思い出したか?」
遼は心配そうな顔で僕を見る。
「ううん、ごめん」
僕は遼から視線を外しうつむきながら言った。
2年か早いものだな。あれからそんなにたったんだ。