なろう迷作劇場~わたくし、ただのチートな悪役ですわ
※ガチコメディです。
この世に生を受けるときに、神様は子どもたちの願いを、一つだけ叶えてくださいます。お金持ちになりたい、頭がよくなりたい、美人になりたい……神様はその願いを『贈り物』として、魂に持たせて人としての生を与えてくださるのです。
わたくしが生まれるときに神様にお願いしたことは、今思い返してみれば、自分でも頭を抱えたくなるものでした。
『平凡なつまらない人生じゃなくて、チートでモテモテでウハウハな人生が送りたい』
我ながら呆れてしまうような、わたくしのそんな俗っぽい願いでも、慈悲深い神様は叶えてくださいました。
神様からの贈り物は『身分と容姿』でした。
わたくしは、この世に『美しい貴族令嬢』として生を受けたのです。
『身分と容姿』は自分の努力だけではどうにもできない、生まれながらのものであり、この二つが高い水準ならばそれだけで人生勝ったも同然です。
ウハウハです。
さらに神様は、わたくしの人生を『非凡』で『波乱万丈』なものにするために、素敵な『貴族令嬢ランク』を設定してくださいました。
わたくしの行動によって、そのランクが上がり、それに沿った『技』が使えるようになるそうです。
わたくし、チートでモテモテでウハウハな人生を送るために、ランク上げを頑張りたいと思います!
【十数年後】
ごきげんよう皆様。わたくしは立派に成長し、素敵な腹黒令嬢ライフを送っております。
『技』もたくさん覚えましたのよ、どうぞご覧になって。
秘技!『美しき輪舞』!
モブ①「う、美しい!登場シーンでバックに薔薇が咲き乱れている!」
モブ②「青空が陰り突風が吹き荒れ、髪を自然になびかせたわ!なんて凛々しいのかしら」
取り巻き①「エフェクトが掛かって、なんて神々しいお姿なの!」
ふふふ、すごいでしょう。
でもね、まだまだわたくしの力はこれでこんなものではなくってよ!
必殺技!『実家の権力』!
超必殺技!!『金貨乱れ撃ち』!!
最終奥義!!!『札束ビンタ』!!!
婚約者「くっ、権力を笠に着るを地で行く女め、いつかお前の化けの皮を剥いでやる!私は、こんな力などには屈しない、私がいくら金を愛しているからといって、見くびるな!!私は、お前などには、決して屈しない。なっ、それはっ!……ああっ、堪らない。もっとそれを私に与えてくれっ、こんな気持ちは初めてだ……まさか、これが『恋』なのか……」
兄①「清々しいほどの虎の威を借る狐だな、我が妹よ」
兄②「金の力でなんとかなる婚約者でよかったなぁ、マイシスターよ」
下僕①「お嬢様、流石でございます!」
下僕②「羨ましい、私も叩いてください!」
下僕③「俺は踏まれたい」
一例ですけれど、こんな感じかしら。
わたくし、ランク上げをとても頑張りましたわ!わたくしの人生はとても充実しておりますの。
現在のランクは『腹黒令嬢』ですから、もうじきわたくしは最高ランクに上がるはずです。
いつ頃になるか分かりませんが、わたくしが『稀代の悪女』になって、国を裏から支配することができるようになる日もそう遠くないでしょう。
そうしたら、次は何をしようかしら。
わたくし、それを考えると楽しくてしかたがないのです。
神様、わたくしに素敵な贈り物をありがとうございます。
わたくし、これからも頑張ります!
神様の考えていたウハウハ人生のチャート式
「貴族令嬢」→「天使(比喩)」→「淑女」→「聖女」→「女神(比喩)」
主人公の辿ったランクのチャート式
「貴族令嬢」→「わがまま令嬢」→「意地悪令嬢」→「腹黒令嬢」→「稀代の悪女」
※ちなみに悪女ランクは「おねだり」「わがまま」「イジワル」「策略」「奸計」など、たくさんすることで上がります。