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ついてくる
「やんなちゃう」
アヤシちゃんがぱたぱたと肩を撫でるように叩いている。
「どうしたの?」
「つい、うっかり、目を合わせたからついてきてるの」
その「つく」は、もしかして「憑く」。
「見かけても目が合わなければ大丈夫なんだけど」
「で、なんで肩?」
「こうすると落ちるときがあるんだよ」
肩についたゴミを落とすようにして、またぱたぱた。
幽霊はゴミと一緒?(^_^;)
翌日、同じ授業で一緒になったら、アヤシちゃんは、机に突っ伏していた。
「家までついてきちゃった~」
「それで?」
「家に置いてきたけど…。今朝、こっち向いてたからヤバイかも」
どういうこと?
「霊って、最初は顔が見えにくいでしょ? でもだんだん近づくとこっち見るんだよ」
そんな話は初耳。
「最後は顔がばっちり見えるから、その前に何とかしないとな~。でも言うこと聞いてくれないの」
はぁ~と、アヤシちゃんはため息をついた。
しばらくして、「あれは近所の神社に置き去りにしてきちゃった~」と笑いながら言っていた。