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守護霊
夏が終わったころ。
なんとなく集まった友達で、テレビ番組の話から、守護霊の話になった。
「アヤシちゃん。守護霊っているの?」
「いるよ。ほら、後ろに」
いや、見えないから。
アヤシちゃんは、あまり他の人が見えているかどうかを気にしない。
「僕さ、守護霊に首が無いって言われたことあるんだけど本当?」
アヤシちゃんの目の焦点が合わなくなり、視線がその男友達の頭の上あたりに向かう。
「ん~。あるよ。見えにくいから『無い』って言われたんじゃない?」
そしてその視線が、隣にいた本日の会場となった家の主に向かう。
「それよりもこっちだよね~(  ̄▽ ̄)」
いや。だから、何が。
「やん。睨まれちゃった! 凄い怖いよ。怖い守護霊連れてるよね」
困ったのは家主。
「それ言われて、俺、どうしたらいいの」
アヤシちゃんは、怯えたような表情で彼の頭上を見ながら答えた。
「あ、怖いけど、大丈夫。強いから」
その夜、その家主から電話があった。
「怖くて眠れねぇよ。俺の後ろにいるんだろ? あいつが怖がるぐらいだぜ? 見えねぇからなおさら、怖ぇ~」
御愁傷様です。