ステーキ
アヤシちゃんが沖縄へ遊びに行ったときのことも話してくれた。
「首里城へ彼と行ったんだけどね」
「うん」
「彼と別行動がしたくなったの」
「せっかく一緒に行ったのに?」
「そうなの。ふらふら~って」
「それで?」
「そうしたらいつの間にか、木に囲まれた場所を歩いていたの」
いつ来るか、いつ来るかと構えながら、頷いて話を促す。
「そうしたら、ずーっと歩いて、いつの間にか国際通りに出てたの」
「それで?」
「ん~。いつの間にか、背中に人が乗ってた」
来たっ!
「その後、ステーキを食べようと思ってたのに、気分が悪くなっちゃって。食べれなかったの」
凄くおいしそうだったのに、悔しかった~とアヤシちゃんは笑う。
どうやら背中の人よりも、ステーキが食べられなかった話がメインらしい。
「それで、その背中の人は?」
「え? あ。飛行機までついてきたから『このままだと元の土地に戻れませんよ』って言って、帰ってもらった」
「普通に帰るものなの?」
「ん~。多分?」
アヤシちゃんが首をかしげる。
「なんか途中に通った場所の木で首を吊っちゃった人だったみたい」
普通に話すアヤシちゃんに、思わず絶句する。
「それでついてきちゃったらしいの」
「ついてくるものなの?」
「ついてきたよ? それで肩は重いし、吐き気がするし、頭が痛いし。ああいうのは性質が悪いよね」
性質がいい幽霊っていうのはいるんだろうか?
「後ろを見ると、首を吊った形のママのヘンな角度で顔がこっちを見てるし。本当に最悪。せめてステーキを食べてからにして欲しかった」
怖さよりも食い気だった。




