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天狗
「ねぇ。天狗っていると思う?」
珍しくアヤシちゃんがそんなことを訊いてきた。
「どうだろう? なんでそんなことを訊くの?」
逆に聞き返せば、アヤシちゃんが首をひねる。
「昨日ね、バスに乗ってたの」
「うん」
「バスの中から神社が見えて、鳥居の上に鳥みたいなのがいたんだよね」
「それで?」
「でもそれ、鳥じゃなかったの。天狗そっくりだったんだよ!」
アヤシちゃんが少し興奮気味に言った。
「だから、天狗かなぁ…って。でも天狗見たのは初めてだから、自信なくて…」
「うーん。どうだろうね」
天狗どころか、幽霊とも縁遠い一般人としては、何とも言い難い。
「でも天狗だとおもうんだよね~。あー、バス停だけでも覚えておくんだった~」
なんとも悔しそうなアヤシちゃん。
ロマンという意味では、天狗がいると楽しいと思う。




