飲み会
いつもの仲間で飲むことにした。
直接、店で待ち合わせたのだけれど、生憎の満席。
「どうする?」
「店、変えるか」
そんな会話をして、集まったメンバーで隣のビルの店に移ることにした。
エレベーターで上がって、店の人に人数を告げる。
移った先の店は空いていたけれど、片付ける間、店の前で待つことになった。
「あ、アヤシちゃんがまだ来てないよ」
一人が言えば、他のメンバーも気づく。
「メールしとこうか?」
「あいつなら、ここに彼氏がいるから、引き寄せられて来るんじゃね?」
「まさか」
「わたし、メアドわかるよ」
「いや、来るかどうか、試してみようよ」
そんなことを店の前でワイワイやっていたら、エレベーターの扉が開いた。
「あ、いた」
エレベーターが開いた途端に聞こえた声に皆の目が丸くなる。
「アヤシちゃん!」
メールを打とうとしていた子の手が止まる。
「あたし、まだメールしてないよ」
「どうやってここがわかったの?」
アヤシちゃんがにっこり笑う。
「なんとなく」
アヤシちゃん曰く、親しい人が集まっていると、なんとなく感じるそうだ。
「次から待ち合わせ場所、こいつには秘密にして、勘で探させようぜ!」
仲間の一人が冗談で言ったとたんに、アヤシちゃんが悲鳴をあげる。
「やめて~。近くに寄らないと分からないから、迷子になっちゃうよ~」
教えていない場所には行けるのに、方向には弱いアヤシちゃんだった。




