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お盆
お盆はアヤシちゃんにとって困る時期らしい。
「なんで?」
「だって帰ってくるから溢れるんだよね」
アヤシちゃんは少し顔をしかめて言った。
「去年なんかは酷かったもん」
「そうなの?」
「実家が引っ越したんだけと、その一階の部屋が霊の通り道だったみたいで、夜中にぶわーっと!」
なんでも、夜中に部屋の真ん中から、幽霊がこれでもかというぐらい、涌き出たそうだ。
「その間、アヤシちゃんは、どうしてたの?」
「金縛り」
「はい?」
「動けなかったの」
一緒に寝るはずだったアヤシちゃんの妹は、何かを察知してその日だけ両親の部屋に逃げたそうだ。
「酷いよね? 先に言ってくれたらいいのに」
「あ~。まぁ、そうね」
ふと気付いて私は尋ねる。
「今年のお盆はどうだったの?」
アヤシちゃんは、にっこりと笑った。
「今年は実家がまた引っ越してたから問題なし!」
前の家は別の誰かが借りたらしい。
「その人たち、大丈夫なのかな?」
「まあ、お盆だけだしね。あっ、行きと帰りがあるから、二日間だけど。それ以外は何もないし」
年に二日だけだとしても、幽霊が涌き出る家は、私なら嫌だな…。




