合宿
アヤシちゃんに、彼氏さん、いつもつるんでいる友達、それに私が入っているサークルの合宿があった。
合宿と言っても飲んで喋って、遊ぶだけだ。
学校っぽいそこは、元が病院だったと噂される建物で、本当のところは良く分からない。
雰囲気のあるその場所の寝る場所は、合宿場の名に相応しい木造の建物に、二段ベッドが四組ずつの部屋が横並びになっている。
まるで映画で見た軍隊の合宿場みたい。
私たちは女性に割り当てられた部屋に固まって入った。
ふらふらとアヤシちゃんは、奥の二段ベッドの下の段に荷物を置く。
「私、ここにするね」
「う、うん。いいの?」
なんとなくアヤシちゃんが選んだ場所は暗く見えた。
気のせいかもしれないけど。
そして楽しく過ごして、一泊した翌朝。
アヤシちゃんがぐったりしている。
「どうしたの?」
「いたの。金縛りにあったの…」
アヤシちゃんの言葉に、ああ、やっぱりと思う。
「なんか、呼ばれている気はしたのね。寝たら、金縛りにあって。左利きみたいで、文字を書こうとして、ぶるぶる震えたの」
「うん」
私は相づちを打つことしかできない。
「金縛りって、身体の何処かが動くととけることが多いんだけど、解けなくて。でも眼が開けられたの」
そこでアヤシちゃんは、話を止めて私を見た。
「眼を開けたら、目の前のベッドの天板に女の人が張り付いてた…」
思わず想像して息を飲めば、アヤシちゃんはため息をつく。
「誰かに助けて貰おうと思って、絞り出すようにして、うめき声を出したんだけど、みんな良く寝てたね~」
「ごめん。それでどうしたの?」
「気絶して、朝だった」
そんなことを話していたら、アヤシちゃんの彼氏さんが、アヤシちゃんの荷物を持ってきた。
「ありがとうー。私、もうあの部屋には入れないから、助かった~」
今度ばかりは、かなり参っていたアヤシちゃんでした。




