スプーン
テレビで超能力特集みたいのをやっていた。夏になるとこういうのが増える。
「スプーンが柔らかいものだとイメージしてください。柄をもって…くにゃりと曲がっていきます」
テレビの中のスプーンが曲がる。
翌日、アヤシちゃんにこの話をしてみた。
「スプーン、曲げたことある?」
アヤシちゃんが首をかしげる。
「曲げてどうするの?」
「アヤシちゃんなら曲がるかなって」
「どうかな?」
さっそく場所を学食に移してやってみることにした。
いつもの友人達も、集まってくる。
スプーンの首の少し下を持って、ゆらゆらと揺らす。
「柔らかいって思うんだよ。片手で持ってね」
「うん」
「俺もやってみよう」
「私も~」
みんなが面白がって、アヤシちゃんと一緒に学食のスプーンを拝借して握る。
なかなか曲がらない中。
「あっ」
アヤシちゃんの手元を見ていた、アヤシちゃんの彼氏が声をあげた。
「今、ぐにゃんと曲がった」
「え? ほんと?」
みんなでアヤシちゃんの手元をみると、スプーンの首のところに、溝ができている。
一回曲げて、もう一回戻したような溝。
「曲がりっぱなしだと、学食の人が困るでしょ?」
アヤシちゃんが、えへへと笑う。
妙なところで気配りをするアヤシちゃんだった。




