続・ボウリング
アヤシちゃんはボウリングが下手だ。
曲がりまくるボールに、いつも一緒に遊んでいる一人がコーチを名乗り出た。
「教えるなら、僕が教えるけど」
アヤシちゃんの彼氏が言った言葉を、にわかコーチが否定する。
「お前は甘やかすから駄目。こいつの場合、投げ方以前の問題だ」
そしてアヤシちゃんに向き直って、びしりと人差し指を突き付けた。
「お前、ボール投げるときに変な力、使ってんだろ!」
「えへへ」
アヤシちゃんが困ったように笑った。
「ボウリングは何も考えずに、言われた通りに投げればいいんだよ。下手に曲げようとか、考えるな」
「うん」
「じゃ、いくぞ」
そこからアヤシちゃんに対するボウリング教室が始まった。
アヤシちゃんの番が巡ってくる度に、にわかコーチが立ち上がり、投げ方を指導する。
「で、投げた後はボールを意識しない」
そう言われても、やっぱり曲がる。
何回目かに、にわかコーチが言った。
「お前、ボール投げた後にボール見んな」
「う、うん」
アヤシちゃんは戸惑いながらも、投げた直後にくるりとレーンに背中を向ける。
「あ、ボールが真っ直ぐ進んでる」
私が思わず声を出したときだった。
「ほんと?」
アヤシちゃんがくるりと振り返ってボールを見た瞬間に、ボールが曲がる。
「おまえ~、ボール見んなって言っただろうが」
このボール見ない作戦(?)は、アヤシちゃんに有効で、この日、アヤシちゃんは、投げては後ろ向きになるという変な投げ方を続けていた。
「意識しないで、ボールを投げるって難しいね」
アヤシちゃんは、にわかコーチに絞られて、ヘロヘロになりながら呟いた。




