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鏡
アヤシちゃんと次の授業に行くために、校内を移動していたら、階段の踊り場にある鏡の所で、唐突に止まった。
「たまに鏡の中に、知らない人がいるよね?」
はい?
「自分が映っているズーっと向こうに、知らない人がこっちを見てるときがあるよね?」
「後ろに誰かいるんでしょ?」
期待を込めて言えば、彼女が首を振る。
「ほら、こういう後ろが壁で、自分以外誰もいないところでも、向こうの方に誰かいるときがあるんだよ」
彼女がにっこりと笑った。
「不思議だな~って昔から思ってたの。ね、不思議だと思ってなかった?」
同意を求められても答えられない。
そんなの…見たことある?
それ以来、鏡が覗き込めない。