時計
アヤシちゃんに聞いたアヤシちゃんのおばあちゃんの話。
アヤシちゃんのおばあちゃんがテレビを見ていたら、当時、大人気だったユリ・ゲラーという超能力者が、「壊れた時計を用意してください」と呼びかけたそうだ。
そう言えば壊れた時計があったと思って、言われた通りに用意した。そして言われるままに念じたら、その時計が動き出したそうだ。
「凄いね」
私が言えば、アヤシちゃんも頷いた。
「そうなの。凄いの。でも一番凄いのは、その時計が止まったときなんだよ」
「え? 何があったの?」
アヤシちゃんは、もったいぶるように少しの間、私を見ながら笑う。
「あのね。その時計が止まって、おばあちゃんはどうして動いていたのか不思議に思って中を開けて見たんだって。そうしたらね、時計の中が空っぽだったの」
一瞬、意味が分からなくてアヤシちゃんの顔を見てしまったら、アヤシちゃんは頷いた。
「時計の中にはゼンマイとかなかったの。そもそも動く筈がない時計が一週間以上動いてたんだって。凄いよね」
そのおばあちゃんは既に亡くなっているそうだけれど、アヤシちゃんは、おばあちゃんまで『アヤシちゃん』だった。




