ライト
穏やかな午後。アヤシちゃんとマイちゃんが、安アパートのわが家にお茶を飲みに来ていた。
「昨日、マイちゃんがうちに泊まりにきてたの」
マイちゃんはよくアヤシちゃんの家に泊まりに行っている。
アヤシちゃんの隣で、マイちゃんも妙な表情で頷いた。
なんだろう。
「真夜中まで喋ってたら、車がわーっと通ったの」
「え?」
「凄い勢いで突っ込んで来たよね」
マイちゃんは顔をしかめながら言う。
「赤の車で、ベッドライトが凄くて、運転手の顔まで見えた」
「まじに? 現物?」
本当の事故が起きたのか、そうでないのか、区別が付かずに聞けば、マイちゃんが続けて答えた。
「半透明。映像だけな感じ」
マイちゃんの説明に、アヤシちゃんが頷く。
そして、手を右から左に走らせて、車が走っていく様子を表現した。
「凄いスピードだったよ。あれはどこと繋がっていたのかなぁ。あの赤い車、突然出てきたから、事故を起こしてないといいけど」
「思わず悲鳴あげたもんね」
アヤシちゃんの説明に、マイちゃんが補足する。
アヤシちゃんとマイちゃんが見たものが、どこかの車なら、どこかの赤い車のドライバーも彼女たちの姿が突然現れて見えたのかもしれない。
こうやって車の前に突然現れる幽霊というのは、できあがるのか…と思った。




